なぜ愛に飢えているのに、優しさをつきはねるのでしょう?
おそらくここでも「感情の抑制」が起因しています。
感情を抑える力が強すぎると時に、反動で本来の願望と逆の行動をとってしまいます。
心理学用語で「反動形成」といわれるものです。
分かりやすい例が好きな人を避けてしまう「好き避け」。
本当は好きなのに隠そうとして冷たく対応してしまう、という行為のことですね。
では「反動形成」を今回の「幽霊少女」に当てはめてみましょう。
この少女は「愛されたい」という思いを抑え込むあまり「愛を遠ざける」のだと思います。
防衛本能のバリアが強すぎて、優しさをつきはねてしまうけど、本当は愛してほしい。
そんな感情を秘めているのだと思います。
「心臓」は何を示している?
痛い痛い痛い ココロが
未だ「心臓」なんて役割を果たすの
故に 立ち入り禁止する
出典: 立ち入り禁止/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
痛々しいフレーズに突入しました。
ここは筆者の個人的解釈で進んでみます。
歌詞から心がボロボロになって痛くてたまらないのが伝わりますね。
では「心臓」の「役割」とは何でしょうか?
心臓は生きる上で切り離せない臓器です。
これに「心=ハート=心臓」と掛け合わせたのでしょう。
要約すると「感情を消し去りたいのになんで消えてくれないんだ」という意味だと思います。
また、心臓は体中に血液を循環させる役割もありますね。
抑え込んでも反発して駆けめぐる「感情」を比喩しているのもあるでしょう。
最後に立ち入り禁止するのは感情を抑制することになった「原因」を排除するためでしょう。
原因は存在否定をしてくる人たちでしたね。
誰も寄せ付けないようにして、自ら「安息の地」を作ったのだと思います。
限界を迎える少女
感情が麻痺してきた少女
幽霊少女は今日も 無口に歩く
どうせ生きちゃいないって五感が証を教えてくれる
だから
今日は心の臓は ココロは閉じた
気に入らないなら近寄らないでよ
出典: 立ち入り禁止/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
「五感」がなぜ生きていないことに繋がるのでしょうか?
おそらく感情抑制が進み、自分の感覚を認識できないまでになったのだと思います。
感情は存在するですが、それをキャッチするアンテナが壊れているイメージ。
これでは生きている心地がしないでしょう。
五感を失って「死んだような感覚」なのだと思います。
「気に入らないなら」は「また傷つけるなら」に置き換えると解釈しやすいですね。
少女の中には傷つけられた経験が深く刻まれているのでしょう。
一人で怯える少女
幽霊少女は今日も 震えて歩く
罵声 暴力 逃避行 嫌いだって
石を投げられ
その姿に生まれた忌みも
知らないままひとりすすり泣く
出典: 立ち入り禁止/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
他人からの攻撃に怯えている様子。
誰にも助けてもらえず、一人で抱え込んで泣いているようです。
まだ2番のAメロなのにすごく辛そうですね。
想いの伝え方が分からない…
思い返すほど愛されたこともない
寄りそっていいほど心を許せない
分かり合えるほど言葉を話せない
今日だってこの舌足らずが邪魔をする
壊れていく
どんな想いの伝え方も知らない
近寄らないでってハサミを振りかぶったって
出典: 立ち入り禁止/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
他人から愛を受け取った経験がない少女。
自分を肯定し、受け入れてもらった経験がないのだと思います。
安息の地がない少女にとって世界の全てが敵なのでしょう。
幼い時期に自分の居場所を見いだせないと、こうした不信感を抱きやすいです。
「話せない」や「舌足らず」は抑制しすぎて自分の思いが話せないのでしょう。
そしてここで出てくる「ハサミ」はおそらく比喩。
先ほどの「反動形成」の鋭さを「凶器」で表現したのだと思います。
少女の中に眠っている「愛」に迫る
少女の思考に変化
ねえ この愛は この愛は君の心に
届いていますか
出典: 立ち入り禁止/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ