David Bowie屈指の名曲「Ashes To Ashes」
オッド・アイのような「Ashes To Ashes」
David Bowie(以下ボウイ)は、2017年に死去するまでアーティストとして勢力的な活動を続けてきました。
グラムロックと呼ばれるジャンルを確立し、実験的な音楽を数多く発表。
一方で、アイドルのような人気も維持し、キャッチーなヒット曲も多く制作しています。
そして、ボウイの実験性とポップさとが巧く融合されているのがこの「Ashes To Ashes」という楽曲です。
奇妙なサウンド、ファンキーなベース、ボウイらしいキャッチーかつ普遍性を持ったメロディ。
彼が持つオッド・アイのように、異なる色を取り合わせているようにも感じられます。
歌詞は一体どんなシーンを歌っているのでしょうか?
きっと摩訶不思議な世界観に違いありません。
そしてMajorTom(トム少佐)とは誰でしょうか?
MajorTomの正体!
ボウイのファンならすぐに気がつくかもしれません。
MajorTomとはボウイが1969年に発表した名曲「Space Oddity」の歌詞に出てくる登場人物の名前です。
「Space Oddity」の歌詞では、MajorTomは宇宙で全人類が注目する任務をやってのけた後、音信不通に。
宇宙の果てまで漂っていった人物です。
「Ashes To Ashes」ではMajorTomのその後、もしくは彼自身について歌われているのでしょう。
1番の歌詞
興味を惹かれる世間話からはじまる
Do you remember a guy that's been
In such an early song
I've heard a rumour from Ground Control
Oh no, don't say it's true
出典: Ashes To Ashes/作詞:David Bowie 作曲:David Bowie
【和訳】
“あの男のことを覚えてる?
かなり前の曲で歌われていた男のこと
管制塔から噂を聞いたんだけど
まさか 本当の話だなんて言わないよな?
【解説】
ある男とはMajorTom。
そして曲は「Space Oddity」のことです。
彼についてある噂が飛び交っています。
ボウイは最初の3行をファルセット(裏声)でかなり高い音域で歌っています。
もしかすると、男女が噂話している様子を再現したのかもしれません。
女の人の話に男性が「冗談言うな」といっているのでしょう。
さて、その噂話とは何なのでしょうか?
MajorTomからのメッセージ
They got a message
From the Action Man
"I'm happy, hope you're happy too
I've loved
All I've needed to love
Sordid details following"
出典: Ashes To Ashes/作詞:David Bowie 作曲:David Bowie
【和訳】
“彼らは例の宇宙飛行士からメッセージを受け取ったみたい
「わたしは幸せだ。わたしが愛した人たちも幸せであるとのぞむ。
わたしが愛す必要のあったものすべてが。
ひどい詳細もあるのだが」”
【解説】
「」内がMajorTomからのメッセージです。
彼は、みんなが幸せかどうか気にかけているようです。
宇宙を漂って絶命していると思われた彼が生きていた。
これは大ニュースですね。
それから、ひどいこととは一体なんでしょうか。
今は、この噂やメッセージが本当かどうかは一度置いて考察していきましょう。
悲惨さを憂鬱に歌う
The shrieking of nothing is killing
Just pictures of Jap girls
In synthesis and I
Ain't got no money and I ain't got no hair
But I'm hoping to kick but the planet it's glowing
出典: Ashes To Ashes/作詞:David Bowie 作曲:David Bowie
【和訳】
“空隙の叫びが苦しめる
ここには日本女性の合成の絵だけだ
そしてわたしは金が尽き、髪もない
もう止めたいんだけど 惑星は煌煌と輝いている”
【解説】
かなり不可思議な歌詞になってきました。
MajorTomが今どこにいるかもわからないまま、悲惨な状況が抽象的に語られています。
何もない空間で叫んでいるのは、MajorTom自身でしょうか?
そして惑星とはどこの星を指しているのでしょうか?
不思議なのが金と言っている点です。
金は宇宙にはないはずです。
金が尽きたのなら、彼は地球にいるのかもしれません。