サカナクション「僕と花」
2012年5月発売のシングル
「僕と花」は、2012年5月にサカナクションの6枚目のシングルとしてリリースされた曲です。
前作「バッハの旋律を夜に聴いたせいです。」で独特の世界観を持った異色バンドとして大きく取り上げられたサカナクションは、続く本作では一転して、アンビエントで切ない雰囲気を見せています。
オリコン週間チャートでも6位を獲得し、大きな注目を集めました。
アルバム「sakanacution」収録
「僕と花」は、2013年3月にリリースされたサカナクションの6枚目のアルバム「sakanaction」にも収録されました。
バンド名を冠したセルフタイトルのアルバムとして注目を集めたこの作品。他の収録曲にはモード学園のCMソングとなった「夜の踊り子」や、ドラマ「dinner」の主題歌となった「ミュージック」、2013年度のNHKサッカーテーマソングとなった「Aoi」などが並びます。
また、初回限定盤には話題になった「バッハの旋律を夜に聴いたせいです。」のリミックスバージョンも収録されました。
サカナクションへの注目度が最も高まっていたときにリリースされたこのアルバムは、バンド初となるオリコン週間チャート1位を記録しました。
「サカナクション」の名前を冠するにふさわしい名盤となっています。
ドラマ「37歳で医者になった僕〜研修医純情物語〜」主題歌
「僕と花」は、ドラマ「37歳で医者になった僕〜研修医純情物語〜」の主題歌に起用されました。サカナクションにとっては、これが初のドラマ主題歌タイアップとなりました。
人気小説を原作に草なぎ剛さん主演で製作されたこのドラマは、病をかかえた恋人のために会社を辞め、37歳で研修医となった主人公の成長や葛藤が描かれます。
「僕と花」はドラマを強く意識して製作された曲で、メロディやサウンドの構成、歌詞にもそれが表れています。
曲中で何度も登場する「目」には「芽」という意味が、「花」はドラマの主人公の恋人である「すず」を表す意味がかけられているそうです。
作詞作曲者である山口一郎の想いと、草なぎ剛さん演じるドラマの主人公「祐太」の想いが重なった曲のテーマにも注目です。
不思議な世界観のMVにも注目
「僕と花」は曲だけでなく、その世界観が鮮やかに描かれたMVにも注目です。曲と合わさって、ひとつの作品として見ごたえのある映像に仕上がっています。
MVではタイトルにもあるキーワード「花」をかかえてさまよう山口一郎が描かれていて、その旅の中に様々な伏線が散りばめられています。
「花」に導かれて「夜(暗闇)」の世界に飛び出し、まだ見ぬ世界を歩いて最後は元の居場所に帰ってくる山口一郎。MVのそんなストーリーには、あたらしい「目(視点)」について歌う曲のテーマが描かれています。
通勤電車に揺られる白衣姿のサラリーマンなど、ドラマを意識した演出にも注目です。
歌詞に込められた思いを読み取る
インパクトのある始まり
僕の目 ひとつあげましょう だからあなたの目をください
まだ見たことのない花 新しい季節を探してた
何にも言わない僕は花 通り過ぎる人にサヨナラ
何にも出来ないはずなのに 少しだけ遠くを見てた
積み木のように重ねておいた悩み
朝には忘れてしまうから すぐに
出典: http://j-lyric.net/artist/a04d6c9/l028dc1.html
歌い出しの「僕の目 ひとつあげましょう」という言葉がいきなり印象強く響く歌詞の始まりです。
まるで花のように動くことなく、過ぎ去っていく人々を見つめる主人公「僕」。
悩みをかかえても解決することなくただ忘れていくだけで、何も変わることのない生き方をしていたのでしょう。
しかしそんな現状の中でも、「まだ見たことのない花」を探し求めていたようです。
夜が手を伸ばしそっと引っ張って また何か言おうとしてるから
つまりは僕の目は花 探してた
出典: http://j-lyric.net/artist/a04d6c9/l028dc1.html
主人公が夜の世界に引っ張っていかれる様は、MVのストーリーと重なります。
新しい「花」を探す主人公に何かを語りかけようとする「夜」。この文学的な表現には、どんな意味が込められているのでしょうか。