「忘却の空/SADS」
SADSの代表曲でもある楽曲
黒夢のヴォーカルである清春を中心に1999年に結成されたバンドSADSの4枚目のシングル「忘却の空」。
もう1つのシングル「ストロベリー」と同時にリリースされた楽曲でもあります。
“SADS=忘却の空”と言っても過言ではない代表曲でもあり、イントロを聴いただけでもこの楽曲が分かる人も多いのではないでしょうか。
黒夢よりもパンク色の濃い楽曲と世界観が多いSADS。
「忘却の空」ではアコースティックギターが用いられ、激しさの中にもどこかセンチメンタルな雰囲気も感じさせます。
黒夢からのファンの人はどことなく「少年」を思い出したのではないでしょうか。
とにかく◯◯が聞き取れない!
“清春の◯◯が聞き取れない!”
私自身、「忘却の空」以外でもこの言葉を度々耳にしてきましたが、そうです、聞き取れないのは“歌詞”です。
TBS系のバラエティ番組『水曜日のダウンタウン』では“SADSの「忘却の空」サビを一発で聞き取れる人0人説”として取り上げられ話題に。
そして話題となってしまったせいか、“SADSの忘却の空を大友康平が歌ったらもう何がなんだか分からない説”という続編まで放送されました。
清春の感情を反映させる独特な歌唱法は、自分の感情にも見事に入り込んでくるのですが歌詞カードを見ないと正確な歌詞は理解できないことも。
今回は歌詞の秘密にも迫りたいと思っているので、これからは鼻歌ではなく歌詞で歌ってみましょう。
ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」主題歌
内容も主題歌も、ひたすらカッコイイ!
「忘却の空」は2000年、TBS系で放映されたドラマ「池袋ウエストゲートパーク」の主題歌として作品を彩りました。
SADSを知るきっかけとなった人もいることでしょう。
この作品も爆発的に人気となり、当時の若者のバイブル的なドラマでもありました。
作品も楽曲もとにかくカッコイイので若者が惹きつけられるのも無理ありません。
キャストが凄かった!
内容や主題歌だけではありません。
キャストが今見ても凄いんです。
主人公のマコトは長瀬智也、その相手役に加藤あい。
登場するギャング“G-Boys”に窪塚洋介、坂口憲二に暴力団は妻夫木聡に遠藤憲一。
他関係者も渡辺謙や阿部サダヲ、小雪と今では考えられないほどの超豪華メンバーだったのです。
清春の精神状態も丸わかり
背景も複雑だった当時
1999年にデビュー、2000年に4枚目のシングル「忘却の空」をリリースし、かなりハイペースに活動していたSADS。
しかし清春は、この「忘却の空」リリースまでの1年間で、解散まで尾を引くような失望感を味わってしまったのです。
そんな中、自身最高傑作とも言われている、「忘却の空」も収録されているアルバム「BABYLON」も生まれたわけですが…。
そんな背景も頭に置きながら歌詞を追ってみてください。
忘却の空へ向かい始める
乾いた風に吹かれ 独りきり歩いてる
忘却の空へたどりつけるまで
出典: 忘却の空/作詞:作曲 清春
黒夢時代から、孤独を感じさせることの多い清春の詩の世界。
音楽活動でも思い悩んでいる時は、その時の感情を歌詞に表しているのではないかと思わせてしまう作品もしばしばありました。
「忘却の空」でもこちらの心が軋んでしまうほどの孤独が映し出されているよう。
“乾いた風”は多くのミュージシャンも多様するフレーズですが、目標地点がここでは“忘却の空”なので孤独感を増長させます。
ちなみに“忘却”とは、忘れ去る・記憶を消すなどの意味を持っています。