うつろう季節と
もうすぐ…
長い冬は何を想う
春になればみんな旅の支度
私たちの季節はもうすぐ
出典: Can't Wait 'Til Christmas/作詞:Utada Hikaru 作曲:Utada Hikaru
セミの大合唱が終演を迎えるころ、空は高くなり山々は秋の装いの準備を始める。
赤とんぼの大群が空を覆うころには、世界は茜色の濃淡で埋めつくされる。
そして振り返れば、冬の足音。
季節には季節が紡ぐストーリーが存在します。
春になれば旅立つ人の。クリスマスには恋人たちの。
そして、イブ
白い雪が山を包む
渡り鳥がしばし羽を閉じる
二人きりのクリスマスイヴ
出典: Can't Wait 'Til Christmas/作詞:Utada Hikaru 作曲:Utada Hikaru
そして、季節は移ろい。場面はクリスマス・イブ。
宇多田さんがこの詞部分で描きたかったイメージは、お洒落な夜景ではありません。
「雪山が見えて、その前に湖があって、そこに渡り鳥が一匹パタパタって止まって」
「あ、はぐれちゃったのかな?どうしたんだろう」みたいな景色。
静寂がふたりを包み込む幻想的なシーンですが、どこかもの悲しい雰囲気が。
もしかしたら「渡り鳥はしばし羽を閉じる」の部分。
深読みかもしれませんが、「想いが届かない」という隠喩表現になっているのかも。
そして、次の文学的表現に「私」の想いが込められています。
特別じゃなくていい
3行の歌詞が持つ意味
次に引用する3行の歌詞に衝撃をうけました。
なぜなら、この曲の表情が一気に変わった気がしたからです。
ここまでのイメージは、お互い想いを寄せ合っている恋人同士。
中々の不器用で絶賛、背伸び中の「君」にヤキモキする「私」のピュアな物語だと勝手に思っていました。
がしかし、ここに来て一気に「君」のイメージが激変していきます。
イブの約束事
会う度に距離は縮むようで
少しずつ心すれ違う
約束事よりも今の気持ちを聞きたくて ah
出典: Can't Wait 'Til Christmas/作詞:Utada Hikaru 作曲:Utada Hikaru
これって、もしかしたら「私」の一方通行の恋?
この歌詞を読むとそう思ってしまいます。
だとすると、”クリスマスまで待たせないで”が意味することとは。
「クリスマスまでには、恋人になりたい」
宇多田さんの言葉を思い出しました。
「一番自分で恥ずかしい感じの曲」
これがもし体験談の曲なのだとしたら…
少々解釈が飛躍しすぎかもしれませんが、可能性は無きにしもあらずで。
にしても、聖夜の関係性をここまで美しく表現できるなんて。
「私」の切ない想いが、たった3行の歌詞からビンビン伝わってきます。
では、この曲に宇多田さんが込めたメッセージとは?
最後の歌詞を見ていきたいと思います。
特別じゃない今を大切に
クリスマスまで待たせないで
人はなぜ明日を追いかける?
大切な人を大切にする
それだけでいいんです
出典: Can't Wait 'Til Christmas/作詞:Utada Hikaru 作曲:Utada Hikaru