十五になったあたしを置いて女王は消えた
毎週金曜日に来ていた男と暮らすのだろう
出典: 歌舞伎町の女王/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
「毎週金曜日」という表現から、仕事終わりの華金で飲みに来るビジネスマンを想起させますね。
お金のある有名人や権力者などではなく一般人なので、自分が成り上がるために男を利用していないことがわかります。
つまり歌舞伎町の「女王」がただの「女」になってしまった、ということを冷ややかに、自分の母親なのにまるで他人のように歌い上げています。
この作品の魅力は、この冷めた感じで淡々と事実を歌い上げるところにあると思います。
感情を売り物にすれば「女」に堕ちる
"一度栄し者でも必ずや衰えゆく"
その意味を知る時を迎え 足を踏み入れたは歓楽街
出典: 歌舞伎町の女王/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
『平家物語』で有名なフレーズ「祇園精舎の鐘の声~」のような意味を示す教訓ですね。
「女王」の母親がただの「女」に落ちぶれてしまった教訓を胸に、あえて母親と同じ歓楽街で働くという選択肢を主人公は選びます。
女に成ったあたしが売るのは自分だけで
同情を欲した時に全てを失うだろう
出典: 歌舞伎町の女王/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
歌舞伎町の歓楽街の「女」になった主人公は徹底して冷静。
自分の体だけではなく感情を売ってしまったら、母親のようにただの「女」になって堕ちるのだと自分に語っているようです。
だから言葉なんかに頼らず、自分の体だけに頼って客を受ける。
痛いくらいの悟りにこちらの胸が苦しくなるようです。
男性にとって女性は寡黙がいいという思想も見かけますが、たしかに黙って受け身でいるほうがセクシーです。
しかしそれは男性にとって欲情をそそるかどうかという問題であり、女性に言論・言葉の自由がないということではありません。女性にも思想を語る権利はあります。
歌舞伎町一番街の人生ドラマ
JR新宿駅の東口を出たら
其処はあたしの庭 大遊戯場歌舞伎町
出典: 歌舞伎町の女王/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
JR新宿駅東口、つまり歌舞伎町一番街のことを言っているのでしょう。
この部分の短いフレーズだけで、ネオンとむせ返る都会の空気にあふれる歌舞伎町一番街をイメージできます。
この曲そのものが歌舞伎町歓楽街、人生劇そのものだといえるでしょう。
ちなみに歌舞伎町を大阪で説明するとしたら、難波や梅田の東通り周辺のイメージです。
店舗のジャンルがとてもよく似ていますし、空気感も同じとはいえませんが似ているところがあります。
まとめ
以上、「歌舞伎町の女王」のPV紹介と歌詞解釈をしてみました。
歓楽街の空気と「女王」として生きていく心得を短いフレーズにぎゅっと詰めた、短くも濃い作品に仕上がっていますね。
歓楽街の「女王」としてだけではなく、競争の激しい世の中で生き残りをかけることにおいても大事なことを歌っています。
林檎さん自身も、アーティストとして生き残りヒットしていくためにあらゆることを経験してきたのでしょう。
歓楽街と芸能界、どちらも厳しい業界です。
いつ食われるかわからない世界で生きるからこその教訓に、わたしたちも学ぶところがあると思います。
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