スピッツの「ヘビーメロウ」とは?
「ヘビーメロウ」は2017年7月5日に発売されたスピッツのベストアルバム、
『CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection』に収録されている楽曲です。
めざましテレビの2017年テーマソングとして、2017年4月から起用されたことでも話題になりました。
スピッツがヘビー〇〇〇!?空耳から生まれたMV!
須山奈津希さんの個性的なイラストが目を引く「ヘビーメロウ」のMVは、「シロクマ」「みなと」「醒めない」などの監督も務めた、
北山大介さんのある空耳がきっかけで着想を得たそうです。
それはMVの初回の打ち合わせの際に楽曲のタイトルをヘビーメタルと聞き間違えたこと。
スピッツがヘビメタ!?という衝撃から、北山さんなりの(ヘビー)メタル感を盛り込むことにしたのでした。
MVに登場する犬と狼が意味するもの
そんなMVには、アルファベット表記のバンド名と共に犬のスピッツが登場しています。
バンド名になっているスピッツはドイツ語の尖っているや、辛辣なという意味の単語"spitz"から取られたものですが、
後付けで犬の日本スピッツに絡めて小さい犬程よく吠えるという意味も込められていることにちなんでいるのでしょう。
そして、白い体をした犬のスピッツは顔だけが真っ黒な狼に変化します。
ヘビーメタルと聞くと、攻撃的な音楽性を連想する人も多いかもしれませんが、今回もめざましテレビのテーマ曲ということで、
ポジティブになれるような曲にしたとしながらも、
歌詞には自分たちの持ち味のちょっと卑屈でネガティブな要素もあるかもと語った草野さん。
そんな朝の日差しのような柔らかい曲の中に牙を隠し持ったような「ヘビーメロウ」に、メタル感、可愛い犬の皮を被った狼、
そして、このMVの一つのテーマにもなっている太陽に憧れる狼と連想が膨らんでいったのかもしれませんね。
では、そんな「ヘビーメロウ」の歌詞を見ていきましょう。
スピッツ「ヘビーメロウ」の歌詞解釈!
この曲でまず一番に気になるのは、タイトルであり、歌詞にも出てくる「ヘビーメロウ」という言葉の意味という人が多いのではないでしょうか。
独断と偏見でしかないのですが、歌詞を見ていて、どうやらその答えを解き明かすには、
この曲に隠された、今までのスピッツの楽曲の歌詞の断片を拾い集め、その意味を知る必要がありそうだと筆者は感じました。
歌詞解釈の後には答えを出すので、最後までお付き合いください。
時代遅れでもやめないでここまできたのはこの日のため
花は咲いたぜ それでもなぜ 凍えそうな胸
ヘビーメロウなリズムに乗って 太陽目指した
嗤ってくれ 時代遅れ 俺も独りさ
やめないで習いに逆らった この日のため
出典: ヘビーメロウ/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
「花は咲いたぜ」という歌詞から連想されるのはスピッツの「花の写真」の歌詞。
大切な「君」への手紙に去年も入れた花が咲いたから「泣きそうな君」が笑うようにこの花を届けたいという
大切な人へのあたたかい願いに溢れた歌詞でした。
しかし、ここでは「花は咲いた」のに「凍えそうな胸」のままなのはなぜだろうという歌詞になっています。
それは、時が経った今、ここには「花」を届けたい「君」がいないからでしょう。
「君は太陽」という楽曲がありますが、「理想の世界」じゃなくても、「僕」だけの理想(君)を追い求めるという歌詞があります。
ヘビーメロウの「太陽目指した」という歌詞の「太陽」が「君」であり、理想だとするなら、
自分たちの音楽の理想を見失っても追い求め続けるということをこの部分の歌詞では言っているのではないでしょうか。
そんな風に、流行という世の「習い」に「逆らっ」て、自分たちの音楽を「やめないで」孤独に続けた自分たちは、
「時代遅れ」の音楽をしているかもしれない、そう思うなら「嗤ってくれ」と言っているのです。
それでも、今までの日々が毎朝自分たちの音楽が流れる「この日のため」だったと思われれば報われると言っているのでしょう。
結果を出すために、売れるようなアルバムを作らなければならないと売れ線を狙っていた時期もあり、それでもスピッツだけの音楽を求めて
ここまでバンドとして歩み続けてきたスピッツのことを歌っているとしたら、この曲の歌詞の意味が見えてくるのではないでしょうか。
続きの歌詞も見ていきましょう。
求めてきたものに出会えたなら、それは信じられないくらいの幸せ
君になりたい 赤い服 袖ひらめいて
確かな未来 いらないって言える幸せ
信じていいかい? 泣いてもいいかい?
出典: ヘビーメロウ/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
「君になりたい」という歌詞は前の歌詞解釈から、自分たちの追い求める、
太陽のように人々を照らす理想の音楽に近づきたいということを言っているのでしょう。
「赤い服 袖ひらめいて」という歌詞からは「ハチミツ」のPV、同題のアルバムジャケットになっている赤いワンピースが連想されますね。
「ハチミツ」でも、赤いワンピースの女性に象徴されると思われる「素敵」で「おかしな恋人」のことが歌われていますが、
その恋人は「こごえる」心を暖めるような存在と歌われており、「太陽」のイメージともリンクしますね。
また、「確かな未来」を「いらないって言える幸せ」という歌詞からは「遥か」の、「崩れそうな未来」と未来の不確かさを認めながらも、
「嘘と本当の狭間で消えかけた」自分を生まれ変わらせた「君」と胸の中にある「遥かな場所」を守りたいという歌詞が浮かびます。
そんな風に守りたいという相手が出会えたら、「夢じゃない」の歌詞のように、
何度も夢じゃないと自分に言い聞かせるくらい信じられないくらい喜ばしいことなのでしょう。
そんな感情が、「信じていいかい? 泣いてもいいかい?」という歌詞に表れています。
また、バンドとしてここまできたということに対する感情なのかもしれません。