さて2番。
寝惚けていることから先程目覚めたばかりだと考えられます。
つまりは1番と時間がずれた同じ舞台を歌っているのでしょうか。
涙が顔を伝っていることに気付いたのが1番、それを枕で拭ったのが2番といったところでしょう。
その夢が楽園だったのか、後悔を晴らせる機会を与えてくれたのか。
もう一度眠りに落ちて同じ夢を見ようとします。
しかし寝ようと意識すればするほど当然ながら目が冴えてしまうのでした。
夢とは儚く、また決して現実ではないことを思い知ることになったのです。
波は攫うあの日々を
Please, give it back
代わりなんていないよ
あなたの匂い 思い出せない 波に攫われて
出典: give it back/作詞・作曲:Miku Nakamura
そして繰り返されるは魂の叫びです。
代わりのいない大切な人を失っていく壮絶極めるリアル。
そしていつしか大切だったはずの人の匂いまでその記憶がかき消されてしまっていました。
ここでの「波」とは呪霊の襲来を意味しているのでしょうか。
呪霊が襲い来る状況を押し寄せる波に見立て、ひと段落し波は静かに引いていく。
そんな戦いに明け暮れる日々を送る中、引いていく波がまるで大切な人の記憶までも攫っていくようだね。
この壮絶なキャラクターの生い立ちを覆い隠すかのようにその日々を「波」に喩えて秘めぼかしているのでしょう。
欲しいものは夢にはない
夢の続きを 捕まえにいくから 待ってて
いつの間にか 孤独ぶるには 優しさに触れすぎた
沁みてく 顔上げてみようか
出典: give it back/作詞・作曲:Miku Nakamura
夢の続きは夢では手に入らない。
去ってしまったものを取り戻せるとしたらそれはやはり現実の中にしかないはずだと悟ったようです。
仮にこの語り手を虎杖悠仁だと仮定すれば、彼は家族を亡くし孤独に暮らしていました。
しかし彼は高専に入りそこで仲間に出逢い、苦心しながらも仲間として受け入れられていきます。
その時虎杖はそこに家族の温もりに近いものを感じるようになっていたのではないでしょうか?
いつしか孤独だった過去が吹き飛ぶくらい優しさに囲まれていたのですね。
思えばそれは温かい自分の居場所だったよなあと。
なのでその場所と人が離れ離れになってしまうのが思いのほか辛く感じてしまうのでしょう。
とはいえいつまでも下を向いてはいられません。
顔を上げて現実に立ち向かっていかなければと気持ちを新たにするのでした。
希望も絶望も、明日を見る
自分の心には
ひとりじゃないって 信じてみたい
信じてみたいの
出典: give it back/作詞・作曲:Miku Nakamura
次々に倒れまた離れ離れになる仲間たち。
では仲間がいなくなれば自分はひとりなのか?
そんな考えがよぎります。
そこでこれまで仲間たちと過ごした日々は嘘だったのかと自分に問いかけるのです。
いや、これまで過ごしてきた日々は自分の心を温めてくれている。
それに共に過ごす中で彼らから多くを学ぶことができた。
そして彼らの信念や生き様に触れ、自らを感化させることとなり、それを励みに生きてきました。
元になど戻れなくても彼らは自分の中にいるし、そのことが自分を強くしてくれているんだ。
少なくともそう信じたいのですね。
希望の光を見ている
give it a shot
生まれたばかりの淡い光に
希望を見たの 胸が熱いよ
出典: give it back/作詞・作曲:Miku Nakamura
英語部分は「試してみよう」といった意味です。
まるで先生が生徒の背中を押しているようですね。
ここは五条悟の目線でしょうか?
五条の強さは作中圧倒的で、現在の呪術界の閉塞感に嫌気がさしていたところもありました。
それを変えるべく若手の育成をと教育者の道を選びました。
そんな中で虎杖を始め自身に比肩しうる才能の光を放つ生徒を見出し始めたという近況があります。
五条は彼らに確かな希望を感じ、胸を熱くするのでした。