君の手離したことを
後悔しては逃げたくなる
夕焼けを見るたびに
あの日に戻れるようで
すべては『今さら』だって
わかってるのに
出典: サヨナラ/作詞:CLIEVY,KEEN 作曲:CLIEVY,KEEN
出かければ手をつないで歩いた2人。君からのぬくもりで心も温かくなりました。
でも、ぬくもりを伝えてくれる君はいません。
別れの時に君へ手を差し伸べれば、自分の手を握り返してくれたのでしょうか。
差し出した手を振り払われることが怖くて、手が伸ばせませんでした。
心の弱い自分を悔やんでも間に合わない。これも分かっています。
心に残っているのは、2人で歩いた空に広がっていた夕焼け。
「きれいだね」と言う君にうなずいたあの日は戻りません。
気が付けば窓の外が今日も赤く染まっています。
君のいない部屋で
君の荷物が運び出された部屋は、その分広く感じられます。
君がいなくなったことで出来た空間を埋める方法が、見つかりません。
君がまだそこにいるようで…
すっきりと片付いた部屋を見渡して今はっきり気付いた
二人きりで過ごした日々は戻らない
くっきりと染み付いた君いなくて心の傷がうずいた
一人きりの力では埋められない
出典: サヨナラ/作詞:CLIEVY,KEEN 作曲:CLIEVY,KEEN
部屋から出て行く君はテキパキと荷造りをしました。
一緒に買ったマグカップを1つだけと、歯ブラシも忘れずに持って行く君。
きれい好きだった君の荷物は思ったより少なくて、旅支度のようにカバンに収まりました。
「じゃあね」の言葉だけで出て行った君の背中が見えなくなります。
ついでに掃除をしていった君が出た後の部屋は音も無くなりました。
君が座っていた椅子がそこにあります。じゅうたんにこぼしたコーヒーのシミもそのままです。
君はついさっき出て行ったけれど、君の心が部屋の中から消えることはありません。
秒単位の悲しみが
ここまで歌詞はC&K得意の「心情を語る」スタイルで綴られてきました。
終わったばかりの恋は誰かに話を聞いてもらうより、まず自分に語りかけるのが先です。
辛い時間はまだ続きます。それは思い出にするための時間なのでしょう。
現実で起こっていることと、心の中で起きていることが、予想外の言葉で歌詞になりました。
溶け出す愛は…
時計の針は1min…2min…
痛みを俺に刻み続ける
固形の愛がとろりとろり
次第に溶け流れ崩れてく
描いた未来が夢へと消えた今も
最後に見た君の後ろ姿が目に焼きついてる
出典: サヨナラ/作詞:CLIEVY,KEEN 作曲:CLIEVY,KEEN
独り出て行った君の心の中はネガティブな感情で渦巻いているはずです。
自分に向けられた君の辛く尖った思いは、秒針が進むように胸に刺さります。
時計の針が進んでも苦しみは変わりません。過去も未来も変えられない針はただ時を進めるだけです。
悲しみに縛りつけられた身体は他人の身体の様に思い通りには動きません。
それでも動かない身体の中に何かを感じ取ったのです。少しづつ溶けて行くものが心だけを動かします。
心がほどけて行く様子は「とろり」をリフレインして音のように表現されました。
「C&Kらしい思いがけなさ」でまた切なくなります。
君からの愛で固まっていた心がゆっくりと溶け始めたのです。
2人で決めていた未来の形も一緒に溶けて行きます。溶けて行くすべてを追いかけることはしません。
「とろり」と溶けることで感情に柔軟性が生まれます。
今自分のまぶたに浮かぶのは君の背中。取り戻せないと分かった君の小さな背中だけです。
夕焼けは明日のための時間
心に柔らかさが出たおかげで、金縛りにあったように動かなかった身体が、ようやく動き始めます。
「とろり」と溶けて出て行った過去の分だけ軽くなった心。
そして本当に感じていることが自然に心の外に出てきました。
空と君もつながっているから
泣きたいほど 会いたい
会えないと思うほど 会いたい
この儚い想いは
泣きたいほど 会いたい
会えないと思うほど 会いたい
…と思うけど 思うのを 西の空に溶かして
出典: サヨナラ/作詞:CLIEVY,KEEN 作曲:CLIEVY,KEEN