「エンゼルフィッシュ」に込められた意味
今回ご紹介する楽曲はluzさんの歌っている「エンジェルフィッシュ」。
ボカロPのNemさんがluzさんのファーストアルバム「tWoluz」のために書き下ろした楽曲。
luzさんの魅力である「甘い歌声」を存分に引き出すメロディラインにはついうっとりしてしまいます。
そして、luzさんが得意とする「ジャズ」のテイストを取り入れていて、とてもお洒落です。
「エンゼルフィッシュ」ってどんな意味?
「エンジェルフィッシュ(=エンゼルフィッシュ)」は熱帯魚の一つ。
よく観賞用に水槽で飼われている、ヒレが長くってシュッとした可愛いお魚です。
この「エンジェルフィッシュ」という楽曲は人魚姫をモチーフに作曲されたそうです。
人魚姫と聞くと、下半身が魚の形になった姿を想像しますね。
この楽曲のMVで登場する人魚姫も想像どおりの姿をしています。
しかし、恋に溺れる人魚姫は自分をまるで観賞用の熱帯魚のようだと比喩するのです。
鑑賞されている魚ってどんな気分なのでしょう?
もし彼らに感情があるとしたら?
面白い発想の楽曲ですね。
幻想的なMV
悲しい人魚姫の恋愛
暗い海の底で生活する主人公の人魚姫。
地上にいる人間に恋をしているようです。
ここまでは、良く知られている人魚姫の話ですね。
しかし、この主人公は嫉妬心や不安に駆られています。
男性には他にも相手がいて、彼女をその一人としてしか見ていないようです。
そして、感情が高ぶった主人公は刃物を持って相手を「壊したい」と発言…。
スリリングな展開ですね。
これを現実世界に置き換えると、何人も女性関係を持っている男性に恋してしまった…。
そんな状況なのでしょう。
辛い恋愛をした時の喪失感は測り知れないですね。
それでは、歌詞からさらに深く読み解いていきましょう!
主人公の「深い愛」と男性の「希薄な愛」
深い愛情がもたらす苦痛
ねぇ あなたが好きよ あなたが好きよ
壊しちゃいたいくらい
もう 何番目でも 構わないから
もっと与えて
出典: エンゼルフィッシュ/作詞:Nem 作曲:Nem
男性に対する深い愛が歌われています。
「壊したい」…これは前述したナイフを握ったシーンから、どんな意味か想像がつきますね。
そしてこの歌詞から、他に女性がいることも読み取れます。
男性が自分だけのものでないのを知っているだけで、相当辛いことでしょう。
「何番目でも」という言葉からは、もはや自分を大切にできていない印象を受けます。
それでも好きで堪らないから、熱帯魚が餌を求めるように「愛」を求めてしまうのです。
「あなた」へ会いに
ネオンの森の奥 地下二階の扉
午前零時過ぎに 三度ノックをする
酸素(あなた)を求めて 今夜もアクアリウムへ
海色ドレスと 真珠のピアスで飾って
出典: エンゼルフィッシュ/作詞:Nem 作曲:Nem
主人公は男性に会うために、待ち合わせの場所へ向かっています。
しかし…深夜にネオン街を歩いているという時点で夜の匂いがしますね。
健全な間柄でない可能性が非常に高いです。
そして、後半のフレーズにも注目してみましょう。
魚も人間も、酸素がないと生きていけません。
とりわけ熱帯魚の飼われる水槽の中では、ポンプで空気を送り込む「エアレーション」が使われています。
主人公は「あなた」という「エアレーション」で酸素の通った水槽にいないと、酸欠になってしまうのです。
依存的に相手を欲しているのでしょう。
最後の行からは、「あなた」に夢中になってもらうために着飾っているのも読み取れますね。
なんだか切ない気持ちが湧いてしまいます。