RADWIMPS「RADWIMPS2 ~発展途上~」

RADWIMPS【祈跡-in album version-】歌詞を和訳して考察!命の素晴らしさに共感の画像

時に優しく包み込む、そして時に激しく心を揺さぶるサウンドが魅力的なバンドRADWIMPS

彼らが2005年にリリースし、インディーズ最後となったアルバムが、「RADWIMPS2 ~発展途上~」です。

今回ご紹介する『祈跡-in album version-』も収録されています。

アレンジが異なるアルバムバージョン

祈跡-in album version-』はタイトルからもわかる通り、アルバム用にアレンジされています。

もともとはアルバムリリースの前年、2004年にシングルとして発表されました。

シングルとアルバムでは大きく内容が異なりますので、ぜひ聴き比べてみてくださいね。

さて肝心の歌詞ですが、テーマは「人の生死」。

当たり前すぎて改めて考える機会が少ないテーマですが、この楽曲では大きく扱われているのです。

人の生、人の死とは一体何なのか。そんな根本的な問題も併せて、歌詞を読み解いていきましょう。

地球に住む人たちは

豊かな人がいる傍らで…

Today six billions of people are breathing, feeling, and living
Today fifty hundreds of children are starving, fearing, and dying
Would you tell me why? what could I do with this
Tell me why how could I remember this

出典: 祈跡-in album version-/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎

(和訳)

きょうも60億人の人々が 息をして、考えて、そして生きている

きょうも5000人の子どもたちが お腹をすかせて、何かに怯えて、そして死んでいく

その理由を教えてよ 僕には何ができるのだろう

どうしたら このことをずっと覚えていられるのだろう

冒頭から胸の痛む描写がなされていますね。

日本に住んでいるとあまり感じることはないでしょうが、世界の貧富の差は非常に深刻な問題です。

日本に住む大半の人が、日々暮らす場所や食べるものに困らない生活を送っています。

日本以外には、それさえもままならない国だってたくさんあるのです。

豊かな国の人々は日々生きることに困りませんし、当たり前のように好きなことを考えて生きています。

反面、1日を生きることに必死でそれ以外に何かを考える余裕などない、そんな人たちもいるのです。

60億人(2019年8月現在では75億人以上)の人々のうち、5000人

数でみればたった5000人ですが、それでも苦しんでいる人々が一定数存在しているという事実。

それは変わることなく、いままでも、そしてこれからもここに存在し続けるのです。

それでも豊かな日本に住む私たちは、きっとまたすぐにこの事実を忘れてしまうでしょう。

でも、世界にとって非常に大切なこのことを、本来なら忘れてはいけないのです。

主人公の僕は、それを理解しています。だからこそ、3行目~4行目のような考えに至るのでしょう。

場所は違えども、いまこの瞬間同じ地球上に生きている。それなのにどうして格差が生まれてしまうのか。

厳しい現実に心を痛めながら、自分が何か力になれるのではないかと、考えを巡らせているようです。

生まれる命もあれば消える命もある

僕はなんだかとても悲しいよ
だって僕が笑っている隣で誰かが死んでいく
僕はなんだかとても悔しいよ
だってそれでも生きたいと思っている僕がここにいる

出典: 祈跡-in album version-/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎

先ほどに引き続き、不条理な世界の格差に心を痛めている様子が描かれています。

日本は世界のさまざまな国と比べても、とても豊かで安全な国といえるでしょう。

だから、日々余裕をもって笑って過ごせるのです。

しかし世界のどこかでは、日々笑顔を見せる余裕がない人たちがいます。

常に死と隣り合わせで怯えながら過ごし、恐怖に顔を歪めるしかない人たちだっているのです。

1行目からわかる通り、主人公の僕はそんな状況を悲観していますね。

そして3行目。主人公はなぜ悔しいのでしょう。その理由は4行目にありました。

自分が当たり前のように生きている間にも、たくさんの人が死んでいます。

望んでも生きられない人がいる中で、何もしなくとも生きていられる自分。

生の存続を手に入れてもなお、自分は生きることを望み続けています。

自分は何もできないのに…そんな想いから、3行目にある感情に行き着いたのでしょう。

人々の命

理解できていますか?

生きたくても生きれねえ やつがいるんだって
そんなんも考えないで 生きてる気になんなって
そうだろう?だってそうだろう
俺たちってただの人間って言われて終わりかもしんないけど
人間として生きてる 命として息してる
「これ以上素晴らしいことはない」って分かっている
心で分かっている 想いで分かっている

出典: 祈跡-in album version-/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎

少々乱暴な言葉が並んでいますが、これこそまさに真理でしょう。

先ほどから数回触れているとおり、日本のように豊かな国ではこの命さえ当たり前に捉えがちです。

ここにあることを信じて疑いませんし、そのありがたみに感謝することもないのです。

ここではそんな状況に対し、正直に怒りの気持ちをぶつけています。

生きているうちに、人は様々な「素晴らしいこと」を経験します。

非日常的で、心を大きく揺れ動かすことが「素晴らしい」と捉えられがちですが、本当にそうでしょうか。

5~6行目に綴られているとおり、本当はいまここで心臓が動いていて、呼吸できていること

それだけで心が揺れ動くほどに素晴らしいことなのではないか。主人公はそう言っています。

そして歌詞でも綴られているとおり、きっとこれは多くの人がすでに知っているのでしょう。

知っていて、理解もしている。それでも、このことを日々感じながら生きることはやはり難しいのです。