Fairy Girl 見習い
Woo Fairy Girl あなたを追いかけ
空を飛ぶけど 上手く飛べない
Woo Fairy Girl 私はちょっぴり
不気嫌 時間の国のアリス
出典: 時間の国のアリス/作詞:松本隆 作曲:呉田軽穂
彼は遥か頭上のクレセントムーンに腰かけおどけています。
そこで彼女は妖精になり、彼を追って空を飛びます。
しかしまだ飛び方を覚えて間もない彼女は上手に飛べません。
月と共に得意げになっている彼を見上げ、ちょっと悔しいのでしょう。
ともあれしばしおとぎの世界を楽しんでいるご様子でした。
時間の国のアリスとは
さてこの辺りでタイトル考察。
【時間の国のアリス】とはもちろんルイス・キャロル作【不思議の国のアリス】をアレンジしたものですね。
1番では時計の針を逆に動かし時間を戻すシーンが見られましたが、アリスと関連付けたのはなぜでしょうか?
ここで原作の話をするとしましょう。
【不思議の国のアリス】ではアリスが迷い込んだ不思議の世界でケーキやキノコを食べるシーンがあります。
それを食べるとなんと、アリスの体が大きくなったり小さくなったりする魔法が込められていました。
最初はそれに戸惑っていたアリスでしたが次第に慣れて、体を自在に伸び縮みさせる方法を掴んでいきます。
そして終盤では会う人や状況などで必要に応じて自分の意志で体の大きさを変えるまでになっていたのです。
それを踏まえた上で、当の「時間の国」でアリスが使った魔法は何だったのかを考えれば答えは見えてきます。
つまりこの世界では、魔法の時計を使って時間を進めたり戻したりできる世界なのです。
こちらのアリスは、体の大きさではなく時間を自在に操って童話の世界を楽しんでいたのでした。
I’m trapped in the Wonderland
彼はピーターパン
誰だって大人にはなりたくないよ
永遠の少年のあなたが言うの
出典: 時間の国のアリス/作詞:松本隆 作曲:呉田軽穂
大人になり切れない、それがあなた。
ここから2番ですが、舞台は一旦リアルの世界に戻ってきた模様です。
歌詞のモチーフがピーターパン症候群を患った青年であることは先述しました。
大人になれない、というより大人になりたくないと公言すらしている彼とはどんな人でしょう?
セーターの袖を破り捨てる闊達で野性味ある彼。
夜空の月に乗って口笛を吹くような気ままな彼。
ではなりたくない大人というと概ねその反対でしょうか?
仕事や嫌なことにもよく耐え、理性的で落ち着きある大人の男性。
彼はそれを拒み、ずっと気ままに生きていきたいのでしょう。
ですが彼女はそんな彼のことも愛しく思っている風なのが微笑ましいですね。
戸惑うアリス
シャム猫のぬいぐるみ抱きしめながら WOW WOW
叱られた子のように私立ってた
出典: 時間の国のアリス/作詞:松本隆 作曲:呉田軽穂
シャム猫とは【不思議の国のアリス】に登場したチェシャ猫がモデルでしょうか?
チェシャ猫といえば度々アリスの相談役になっていた神出鬼没の猫。
それを想起させるぬいぐるみを抱いていた、というのは少なからず先行きが不安だったと推察されます。
それを裏付ける如く彼女は次のシーンで力なく立ち尽くしています。
不安の原因はやはり彼でしょうか。
大人になることを拒もうとする彼についていくことに不安を感じているんですね。
ようこそウサギがお出迎え
瞳閉じれば四次元の迷路
タキシード着たウサギが走る
出典: 時間の国のアリス/作詞:松本隆 作曲:呉田軽穂
不安を抱えながらも彼女は再び童話の世界へ。
まるで依存心の強い少女が夜な夜な人形に話しかけるように。
先程は魔法の時計で時間を戻して異世界にトリップしたのですが、今回は瞳を閉じ空想すればそこは不思議の国。
伸びたり縮んだりする不可思議な空間に、人の服を着て人の言葉を話す一風変わったウサギ。
そこに広がっていたのはまさに【不思議の国のアリス】さながらのワンダーランドだったのです。