いきなり”ひとりきり”
Baby, We are alone. Dance with me!
出典: Dance with me/作詞:immi 作曲:DJ B=BALL・immi
いきなり冒頭からの”We are alone”。
冷静に考えたら、人は一人。みな自分とは別々の人間。一人で生まれ、一人で死んでいく。それは、当たり前のことなのでしょう。
でも、恋の真っただ中の状態で、この現状把握。
これまでに「分かり合えていない」と感じた出来事が多々あったことを示しているように思えます。
そして、望むことはDance with me! 一人で生きているからこそ、人と一緒に楽しみたい。
健気すぎませんか? なんとなく、明るくも不穏な幕開けです。
それから徐々にわかってくることは、好きな「君」との関係で少しずつズレを感じているということ。
もっと、「君」に心を開いてほしい。もっともっと、私のほうを見てほしい。
彼に対するまっすぐな思いが冒頭で溢れます。
こんなに好きなのは私だけ?
It's always a good time 君はちょっとキスして
I like your smile ためらいなくYou said goodbye
君に不満なんてない だけど違うの
信号変わっても私だけ見て I wanna stay with you
出典: Dance with me/作詞:immi 作曲:DJ B=BALL・immi
「君」と自分自身のお互いへの思いのバランスが違うと感じているようです。
彼に対して何の不満もないし、好きだけど、ずっと一緒にいたいと思っているのは私だけ?
少しの間でさえ、離れるのがつらいと感じているのは私だけ?
私だけが「君」をすごく好きなのかもしれない、という不安がところどころよぎります。
「君」がもっと私を好きになってくれたら、このもやもやも打開できるのかもしれない。
でも、自分たちは別々の人間なわけで。
まったく同じ気持ちでいてもらうことのほうが難しいのかもしれないと頭ではわかっています。
ここで冒頭の「We are alone.」がじわじわ効いてきます・・・。
いろんな君を知りたい
Knock on my heart
Knock on my door
意外なとこで笑ったり
ほんの側面しか知らない
君と騒ぎたい
出典: Dance with me/作詞:immi 作曲:DJ B=BALL・immi
「君」をもっと知りたいでもなく、私をもっと知ってほしいでもなく、ずっと一緒にいたいでもなく、永遠の愛を……でもなく、願いは「君と騒ぎたい」。
実は、騒ぐって内に秘めているものが全部吐出されます。
君らしいと思えるところも、意外だと思えるところも。
君を形成しているすべての要素を知りたいし、好きになれる自信があるということなのでしょう。
この恋に願うことは、共依存の関係に陥ることなく、しっかり向き合って好きな人と楽しみたいということ。
その潔い覚悟の決まり方、ため息が出ます。かっこいい。
”今”を楽しむ
Oh Baby,We are alone,Dance with me!
GroovyなリズムでShake Shake Shake
二人のFloor Take me there
明日も忘れて Open your mind
出典: Dance with me/作詞:immi 作曲:DJ B=BALL・immi
二人で踊っているときだけは、先のことさえ考えずに今を味わっていたいという思いが表現されています。
もともとは一人かもしれないけれど、踊っているときは”二人”を感じられる。
そんなしがみつくような一生懸命な「君」への思いがうかがえます。
余韻を信じて
Oh Baby,We are alone,Dance with me!
君と通じ合う La La Love
今日が終わっても Song keeps playing
いつまでも余韻 続いてく
出典: Dance with me/作詞:immi 作曲:DJ B=BALL・immi
この先、この恋がうまくいかないかもしれないという不安がよぎったとしても。
それでも、祈ってしまう。
今この時を、「君」と分け合いたいと思っている気持ちが表れています。
君と通じ合ったという感覚をいまだ覚えていて、それにすがりつくようにこの恋がうまくいくことを願っています。
基本的には前向きに今を楽しんで生きようとしているのに、時折不安が少し混ざっているという、そんなリアルさがあります。
それをなんの屈託もなく美しい海辺で歌うことによって楽曲の説得力を増しているのではないか、と思いました。
歌詞と重なる
『Dance with me』における期待と不安は、今を生きる女の子のもつそれをうまく表現しています。
単純に楽しくて、嬉しい!かわいい!が良いのに、不安は勝手に混ざってくる。
笑顔の裏で、覚悟を決めるしかない。
そんな姿は、チューニングキャンディの姿とも重なっています。
この等身大の揺らぎを絶妙に表現したことが、聴く人に特別な瑞々しさや清潔感を与えているのではないでしょうか。
と、ここまで書いてみてやっぱり彼女たちの魅力を書ききることは難しい!と改めて感じます。
彼女たちの魅力の一つは未知数であること。始まりの予感がすること、でもあるから。
今後どんどん活躍してくれるだろう、という期待を持たせてくれます。
『Dance with me』という楽曲はその門出を象徴するものです。