正反対の私とあなた
追いかけるほど遠くへ
追いかけるほど
遠くなるものだって分かってるよ
私は冬の真ん中
君は太陽の花
交わらないふたりは ただの片っぽ
出典: 片っぽ/作詞:eill 作曲:eill
去っていこうとしている人を追いかけても、距離は遠くなるばかり。
分かっていたけれど、それでも気持ちを抑えられなかったのでしょう。
結ばれない運命と知っていても、少しでも一緒にいたかったのです。
凍える冷たい冬のような私と、温かく照らす太陽のようなあなた。
対局にあるからこそ、一緒にいられないと分かっていても強く惹かれあうのでしょう。
そして、決して交わることのない2人はそれぞれに”片っぽ”なのです。
届くことはないまま
きっと散らかった想いの真ん中で
ずっと逸恋慕な運命だから
出典: 片っぽ/作詞:eill 作曲:eill
前半では散らかった”世界”と描かれていましたが、こちらでは”想い”に変わっています。
そして、前半のパートでは世界からはじかれたような孤独感を感じました。
後半では、外から見た自分ではなく、内側の自分を描いているように感じます。
相手を愛する中で感じた葛藤や不安、もどかしい気持ちを”散らかっている”と表現しているのでしょう。
また、こちらで登場する”逸恋慕”という言葉も、叶わない恋や逸脱した恋を描く造語だと思われます。
”逸脱する”というのは、ルールから外れているということ。
許されない恋をしているというようにも捉えられます。
離れてもずっと
想いは変わらない
痛くて甘いのさ
君のぬくもりが
今も強く 私を抱きしめてる
出典: 片っぽ/作詞:eill 作曲:eill
離れれば離れるほど、過去の記憶はより幸せで大切なものに変わっていきます。
時間がたっても、くじけそうな時、孤独な時にふと蘇るのでしょう。
過去には、辛い時にそっと抱きしめてくれた大切な人のぬくもりがあったのです。
お互いの事情から、頻繁に会えない毎日が続いていたかもしれません。
それでも、会った時に感じるぬくもりが、ひとつひとつ大切だったのです。
愛する人の存在、温かさにたくさん救われてきたのでしょう。
君をそばで守りたかった
痛くて甘いのさ
君の抜け殻が
片っぽな今日を完璧に作り出してる
ただ守れれば君を守れれば
片っぽなままで 心に咲かせておくよ
ねぇ 飾った向日葵
涙が落ちて落ちて… 止まらないの
出典: 片っぽ/作詞:eill 作曲:eill
MVの後半では、洋服や靴など、2つあったものが片っぽになっていく様子が描かれています。
枯れている向日葵の描写はなんとも切なく、楽曲の歌詞ともリンクしていますよ。
そして彼女の姿が消え、ソファに1人で座っている女性の後ろ姿が描かれて幕を閉じます。
すべてが片っぽになってしまったけれど、心の中にはずっと残り続けているのでしょう。
ただそばにいて、大切な人を守りたかったという温かなメッセージが胸を打ちます。
”守りたいけど守れなった”という表現が、本当に切ないです。