先ほど、この曲はドラッグについて歌っている説もあると書きました。
それに関して、「ダイヤモンドの空」というフレーズは、何かを連想させませんか。
そう、ビートルズの「Lucy in the Sky with Diamonds」です。
この曲も、ドラッグについて歌っているのではないかという解釈があります。
その真偽はさておき、ドラッグにも、いっときだけ多幸感をもたらすように作用するものがあります。
ただしそれは使ったその時だけで、後には心身、そして社会的にも大きく恐ろしい影響を及ぼします。
「連れ出してくれるもの」に安易に飛びつき、すがってしまった場合。
逆に更なる不幸が待ち受けている可能性もあるのです。
彼が真に願うもの
ただ、ここで連れ出してくれるものとして描かれるのは「タンブリンマン」。
タンブリンを打ち鳴らすような音楽というと、どんなものを連想しますか。
その軽快な音にのせて、心を浮き立たせるリズムを持つものが多いのではないでしょうか。
自分の心を救ってくれるのは、そんな芸術であってほしい。
閉塞感に苛まれながらも、主人公はそう願っているように感じられます。
自分で歩き出すことは諦めながらも、状況を打破すること自体はどこかで諦めきっていない。
だからこそ繰り返し「歌ってくれよ」と呟くように願い続ける。
ボブ・ディランの柔らかな声にのせられると、そんな祈りにも似た歌のように聴こえてくるのです。
そして、同じような苦しい境遇に置かれた人達への、メッセージであるようにも。
そんな彼が歌声にのせた思いは、穏やかな曲調だからこそ人々の胸にずしりと響きます。
代表曲ともいえるこちらも、あわせてどうぞ。
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