では「わかってもらえばいいじゃないか」。
そう思う方もいるでしょう。
ですが主人公にそれは叶わず、彼女は苦しみ続けています。
それは何故なのでしょう。
想像するに、それは「彼への好意」によるものと考えられます。
つまり主人公は彼のことがとても好きなのです。
誰しも、好きな人には良い姿を見せたいものです。
「自分を認めてほしい」という気持ちもあるはず。
男女問わず恋人同士になる前は、尚更自分を良く見せようと頑張ったりもします。
そんな彼への想いの強さが彼女をこうさせているのでしょう。
ですが付き合って時間が経つにつれて、その背伸びに辛さを感じ始めているといえます。
主人公が演じた恋人の理想像
では主人公が演じてきた姿とはどのようなものなのでしょうか。
それはこの歌詞に表れています。
あなたが知ってる
私はどんな子?
可愛くて優しい
気の利いた良い子?
出典: わかってない/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん
可愛くて優しい、物わかりの良い女の子。
彼の気持ちを引く一心で、そんな人物像を演じてきたのでしょう。
しかし本当の自分はその真反対です。
彼の知る主人公の可愛らしさは全て彼女の頑張りによるもの。
つまり演技です。
時には可愛さを捨ててわがままを言いたい時もあるでしょう。
それが彼女の本当の自分。
理想像とはかけ離れており、それを彼に言い出せずにいます。
結果的に今の状況をやめることもできません。
こうして無理な背伸びをしながら彼との関係を続けているのです。
演じる自分と本当の自分とのギャップ
誰しも、自分らしくないことをするのは疲れるものです。
主人公もそういった状況なのでしょう。
彼の理想に近づくため、自分を苦しめながらも必死に理想の女の子を演じています。
その一方で、本当の自分との落差に主人公は気づいているのです。
その気持ちはこの歌詞にも表現されています。
自分の首をしめ続け
あなたの理想の中で泳ぎ続けてる
日々が怖い
出典: わかってない/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん
この状況をやめられないのは「彼が離れていってしまう」ことへの恐怖心によるものでしょう。
素の自分をさらけだしてしまえば、彼との関係が終わってしまうのではないか。
幻滅されやしないかという主人公の不安や恐怖がひしひしと伝わってきます。
ですがそこに限界を感じているのも事実。
本当はわかってほしいとも思っているようです。
愛されているのは誰?
演じている方の自分を愛する彼
この曲のポイントは単に彼が自分を「わかってない」ことだけではないでしょう。
恐らく、「愛されていない」という実感がこんなにも自分を苦しめているとも考えられます。
その主人公の切実な気持ちはこの歌詞からも伝わってきますね。
私を知らない
そのくせキスする
泣きそうになるわ
くじけそうになるわ
出典: わかってない/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん
本来であればされて嬉しいキスも、なぜか泣きそうになる。
それはきっと彼が本当の自分を愛してくれていないからでしょう。
かりそめの姿である自分をいくら愛されても、主人公の心は満たされません。
事実、彼の恋人は紛れもない主人公。
ですが彼はあくまで「演じている方の自分」が好きなのです。
自分ではない誰かが愛されているような、辛い気持ちになりますね。
本当の自分に嘘は吐けない
この曲で苦悩の元となっているのは、本当の自分と演じている自分とのギャップ。
演じているのは器用で都合のいい女の子ですが現実は違うようです。