世代を超えて魅了してやまない、buck numberの音楽

別れを乗り越えたい時に聴いてほしい曲 buck number『then』の画像

群馬県で結成された三人組ロックバンド、buck number。 彼らの魅力ってどこにあるんだろうと考えてみました。

共感できる歌詞。三人組とは思えない音楽の厚み、幅広さ。 失恋ソング恋愛ソングが多いと言われているbuck numberですが、

フェスに参加すると男性も、一緒になって音楽とともに 踊っているのを目にします。

そんな彼らにもインディーズ時代はありました。

インディーズ時代にリリースしたミニアルバム『逃した魚』 に収録されている『then』という曲があります。

楽曲自体は男らしさを感じるくらいギターをかき鳴らしています。

buck numberを一躍有名にした『花束』や『クリスマスソング』 とはまた違い、歌い方もしっとりとした歌い方ではなく、 強い気持ちを感じられる歌い方をしていますね。

そんな『then』の歌詞に秘められた世界観を追求してみました。

別れを乗り越えたい時に聴いてほしい曲 buck number『then』の画像

インディーズ時代に出した『逃した魚』に収録されている「then」とは?

2009年2月にリリースされた1stミニアルバム『逃した魚』の4曲目に収録されている「then」

現在よりバンドサウンドが強い印象がある楽曲が並んでいる中で、 この曲の出だしもラブソングなの? 失恋の歌なの!?と驚かされました。

恋愛ものの曲はどこか甘いサウンドが印象にありましたが、 「then」には、エモーショナルに責めたサウンドの中に、 大切な人との別れ、そして歩みだす決心の強さが感じられる歌詞が沢山詰まっていました。

失恋の曲としてだけでなく、 何か新しいことを初めようとしている人、ずっと悩んでいたけど一大決心しようとしている人には おすすめの曲です。

今も同じ歌声に変わらない感情を乗せて放つ
そのつもり それなのに
何か見つける度 何か落としてんだろう
変わらぬ毎日が変えたもの

出典: then/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏

人は常に、同じものを見えているように 見えていないことってありますね。

buck numberにとっては、言葉を歌にのせることが使命でもありますね。

でも、世間の人たちは皆そうではないけれど、 変わらない毎日の中にも変化が生まれているのは一緒ですね。

助手席の窓から 君と見上げた
夜空の星が消えてゆくよ
ひとつ ひとつ 色を失くすように

出典: then/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏

作詞作曲を手がけている清水依与吏の音楽をこれまで 聴いてきましたが、あまり同じ言葉を繰り返しているイメージがありませんでした。

いかに、”ひとつ ひとつ”と夜空の星を数えては、 君と過ごした想い出をかみ締めながら、

数えているのが感じられますね。

”君と見上げた”と書かれていることから、 現在は、傍にいない誰かのことを想っているようにも 思えますね。

時は過ぎて 喜びも悲しみも想い出も
君と同じ
逃げるように この腕をすり抜けて

誰か笑う度に 誰かが泣いているんだよ
色を失くしたのは誰でしょう

出典: then/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏

別れを乗り越えたい時に聴いてほしい曲 buck number『then』の画像

時が過ぎるにつれて、 人の中身や外見もそうですが、

同じであることって難しいんですよね。

それは、その人にとってプラスに変化したのかもしれないし、 マイナスに変化したのかもしれません。

でも『then』の中にいる僕にとっては、

感情や想い出とともに、君が離れていってしまった悲しみに暮れているのが感じられます。

”逃げるように この腕をすり抜けて”という歌詞が とても肉体的に感じられるなと思います。

本当は触れるくらい傍にいたはずなのに……。

悲しみにくれている僕ですが、

”誰か”笑う度に〜失くしたのは誰でしょう”

というのは僕の嘆きなのか?  君が実は悲しんでいるのが感じているのか、

とても意味深でもあり、 感情の重みを感じられる歌詞になっていますね。

僕が歩いて来た道のすべては
支える事など出来ないのに
そうか そうだ 変わったものは

出典: then/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏

”僕が歩いて来た道のすべては

支える事など出来ないのに”

という歌詞にはもう僕は気づいているんですよね。
過去が支えるのではないのだ、ということ。

これからの自分が、
自分の人生を変えていく、ということ。

大切な存在は、
どんな人にでもいると思います。

それが家族であったり、友達であったり、恋人であったり……。
もしかしたら、それ以外の人や物であるかもしれません。

僕にとっては、君の存在は大きかったんだと思います。
でも、今の僕にとって気づくことができたんですよね。

別れを乗り越えたい時に聴いてほしい曲 buck number『then』の画像

助手席の窓から君と見上げた
夜空の星が消えてゆくよ
ひとつ ひとつ ひとつ

出典: then/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏

この一節に”ひとつ ひとつ ひとつ”
という歌詞があります。

ただひとつという言葉が増えただけにも
感じられます。

でも、僕の変化も感じられますね。
何気なく見えているものだったけれど、

ひとつ多く夜空を数えることができるくらい、
視野を広げてみることが出来た。

そんな成長も感じられる歌詞にも
思えますね。

助手席の窓から君と見上げた
夜空の星が消えてゆくよ
空いたシート弱く照らしながら

出典: then/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏

この曲を聴いて、一番切なく感じる一節にも感じます。

助手席のシート空いてる、ということは
もう君は、僕の傍にいない……。

誰かがもう傍にいないと気づくのは、
切ないです。

また弱く照らしている、というのが、
夜空に輝く星の優しさなのか、温かさなのか。

胸がきゅっと締め付けられるような歌詞ではありますが、
今、支えられているものに気づくことができた僕が

静かに新しく一歩を踏み出そうとしているようにも
思えます。