遠回しの表現
愛に もし カタチがあって
それがすでに わたしの胸に はまってたなら
きっとずっと 今日よりもっと あなたのことを知るたびに
そのカタチはもう あなたじゃなきゃ きっと隙間を作ってしまうね
出典: アイノカタチfeat. HIDE (GReeeeN)/作詞:GReeeeN 作曲:GReeeeN
しかし、一部分回りくどいというか、引っかかりを感じさせる言葉が使われています。
それが「愛にもし……隙間を作ってしまうね」の部分です。
あくまで「もし」という仮定であって、「あなた」への思いを表す比喩として語られている内容です。
「私の心」にすでにはまっているカタチは、「あなたのことを知るたびに」、
あなた以外の人では隙間ができてしまうというのです。
あなた以外の人は「私の愛のカタチ」にはまらないということはわかります。
わからないのは「あなたのことを知るたびに」という部分。
「すでにはまっている」カタチなのに、「あなたのことを知るたびに」
愛のカタチはあなたのカタチになっていくという意味ですが、
これは「私」の胸にある愛と「あなた」が同じカタチをしていたということでしょうか。
それとも、「あなた」との交流が深まるにつれて、「私」の愛はそのカタチを変えながら、
「あなた」にぴったりと寄り添っていくという意味でしょうか。
前者なら運命論のようでもあり、後者であれば出会い、交流が深まるに連れて愛を育んでいったと考えられます。
どちらがふさわしい解釈なのでしょうか。
サビの表現はストレート
あのね 大好きだよ
あなたが心の中で 広がってくたび
愛が 溢れ 涙こぼれるんだ
出典: アイノカタチfeat. HIDE (GReeeeN)/作詞:GReeeeN 作曲:GReeeeN
謎を感じさせる表現に対して、サビは非常にストレートです。
「あなた」の存在は心の中でどんどん大きくなり、そのたびに涙するほどの感動に包まれています。
心の中が誰かへの思いで満たされることの幸福感が表されていると言えるでしょう。
歌詞の解釈2
ドラマを思わせる歌詞
これから沢山の 泣き笑いを 知るたびに増えていくの
飛び出たとこ へこんだとこ 二人になってく
時にぶつかり すり減って そして また 埋めあっていけばいい
出典: アイノカタチfeat. HIDE (GReeeeN)/作詞:GReeeeN 作曲:GReeeeN
「義母と娘」の関係になった亜希子とみゆきですが、出会った当初はみゆきは激しく亜希子を拒絶します。
それでもひたむきに母になろうと努力を続ける亜希子にみゆきも心を開き家族になっていく様子が
「時にぶつかり すり減って~埋めあっていけばいい」に表されているように感じられます。
特別な二人
飛び出たとこ へこんだとこ 二人になってく
出典: アイノカタチfeat. HIDE (GReeeeN)/作詞:GReeeeN 作曲:GReeeeN
全体にシンプルな言葉で書かれた歌詞ですが、ところどころに少し引っかかりを感じさせる言葉が使われています。
ここでは「二人になっていく」という言い回しに込めた意図を考えてみました。
「二人」とは「私」と「あなた」のことですが、「私」と「あなた」なら、もともと二人です。
それを敢えて「二人になっていく」という表現を使ったのは、この「二人」が単なる人数のことではなく、
特別な関係性を持った二人という意味をもたせたということではないでしょうか。
前段の歌詞も含めて、「私」と「あなた」が言葉を交わし、ふれあい、ときにぶつかりながらも
かけがえのない関係を作っていく様子が描かれていると言えるでしょう。
「とびでたとこ」は長所、「へこんだとこ」は短所とも取れます。
その全部を受け止めて、特別な二人になっていくという意味ではないでしょうか。
そのように見ていくと、上で紹介した「あなたを知るたびにそのカタチは……」という歌詞は、
お気楽な運命論ではなく、
次第に愛がカタチを変えながらあなたのカタチにぴったりと寄り添っていくという解釈が成り立ちそうです。
広がっていく愛
あのね 大好きだよ
何万回も 伝えよう 温かく増えた想いは
全部 アイノカタチです
ずっと ずっと 大好きだよ
あなたが心の中で 広がってくたび
愛が 溢れ 涙こぼれるんだ
星の数ほどの中 ただ一人のあなたが 心にいるんだ
出典: アイノカタチfeat. HIDE (GReeeeN)/作詞:GReeeeN 作曲:GReeeeN
曲の後半にかけて、「何万回」「星の数ほど」と壮大な表現が登場します。
「あなた」への愛は深まり、広がり、強くかけがえのないものになっていったと言えるでしょう。
そこにあるのは、すべてを受け入れる最大級の愛です。
この愛は男女の愛に限らず、親子の愛とも取れます。
ドラマの関係のように、血の繋がりのない家族の愛もあるでしょう。
この世に生きているすべての人が、他の誰とも違うたった一人の存在です。
その一人ひとりの全部を知ることは不可能です。
多くの人とはすれ違い、行き過ぎていきます。
そんな中で出会った、「あなた」という存在のかけがえのなさ、
「あなた」という存在がまるごと心の中にいることのあたたかさを感じさせてくれるような歌詞になっています。