答えがなかなか出ない問いに対してずっと考えていると、人は疑いの気持ちを抱くようになります。

こんなことを考え続けていて、一体どんな意味があるのか」と。

しかしそんな答えの出ない迷いに対して、ここの歌詞はそっと包み込むような優しさを携えています。

人はつい考えすぎて迷うことがあるけれど、その時間は決して無駄ではない

そうやって深く考え悩み、迷うことはとても勇気があることで、この先へ進むために必要なんだ。

そんな風に、不安になりがちな人たちの背中をグイっと押してくれる部分です。

前を向いて大きく踏み出せ

想いを閉じ込めないで

解き放て あなたの声で 光る羽根与えた思いを
その足が向かうべき先へ そうしなきゃ見えなかった未来へ
諦めなかった事を 誰よりも知っているのは
羽ばたいた言葉のひとつひとつ 必ず届きますように

出典: Aurora/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

1行目「光る~」とは、次へ一歩踏み出す勇気のことを表現しています。

これまで、自分自身が心の奥に抱えていた想いについて深く考えてきた主人公。

自分自身がどうしようもできなかった想いを救ったのも、自分自身でした。

抱え込んでいたあなたの想いは、名前がついたことでようやく羽ばたけるようになったのです。

そうして羽ばたかせるために、必死に悩み、必死に考えた日々。

そんなあなたの努力を1番知っているのも、あなたが名前を与えた数々の想いたちです。

自分の元を離れていくそんな想いたちが、伝えたい相手にきちんと届きますように…。

4行目ではそんな風に、離れていく自分の想いに希望を託しているのです。

なんでも描ける魔法のクレヨン

もう一度 もう一度 クレヨンで 好きなように
もう一度 さあどうぞ 好きな色で 透明に
もう一度 もう一度 クレヨンで この世界に
今こそ さあどうぞ 魔法に変えられる

出典: Aurora/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

クレヨンは自分の考え、想い、努力を意味する比喩表現だと述べました。

ここで登場するクレヨンも、同様の意味を持っています。

クレヨンで自由に描いたもの。つまり自分が自由に考え、望んだこと

それは確実に自分の人生の糧になっていくのだと、そう伝えています。

しかし2行目、クレヨンを使っているのに「透明」というのは不思議ですね。

これは歌詞中で、クレヨンと表現されているものが持つパワーの大きさを表しています。

生きていれば辛いこともあります。色でいえば黒のような、灰色のようなものでしょう。

しかし自分で考え、努力することは、そんな辛さを乗り越えることに繋がります。

そうして黒や灰色を消し去ることを、歌詞では「透明」だと表現しているのです。

クレヨンの魔法が背中を押す

ああ、なぜ、どうして、と繰り返して それでも続けてきただろう
心の一番奥の方 涙は炎 向き合う時が来た
触れて確かめられたら 形と音をくれるよ
あなたの言葉がいつだって あなたを探してきた

そうやって見つけてきた

出典: Aurora/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

1行目にあるのは、主人公含め誰もが繰り返す自問自答の様子です。

答えがないまま問い続けて、暗闇に溺れそうになって、それでも人は問うことをやめません。

それは2行目に綴られているような、強い決意があるからです。

涙と炎は一見すると全くの別物です。

しかしここでは、苦しさをバネにして逆境をはねのけていくことを意味しているのです。

そして3行目からは、自分自身の心に向き合う主人公の様子が描かれています。

自分自身の心の動きに向き合うことは、自分自身を探し、そして知ることです。

主人公は言い表せない心の中の動きに向き合い、触れ、表す言葉を探してきました。

そのことが、自分自身を知ることに繋がっているのです。

歌詞に登場する「クレヨン」が意味するもの

曲中に数回登場していた「クレヨン」というキーワード。

それが意味することについて、改めてまとめてみましょう。

この曲の主人公に限らず、誰もがたくさんの想いを抱えています。

すぐに感情に結びつくような想いもあれば、名前さえつかない想いだってたくさんあるでしょう。

そんな想いたちに名前を与えるための考えのことを、この曲ではクレヨンと表現しています。

クレヨンは、幼い子どもたちが自由に好きな物を描くときに使う道具です。

クレヨンと画用紙があればそこには、誰でも希望に満ち溢れた絵を描くことができる。

つまりクレヨンは、それを使う子どもたちにとっての自己表現手段なのです。

これと同様、大人たちにとっての表現手段の象徴としてクレヨンという言葉が用いられているのです。

クレヨンで自由に描く心模様

道に迷って、悩んで考えて、それでもなかなか出口が見つからない。

大人になると、そんな経験をすることが増えていくように思います。

それと同時に、自分自身の感情に向き合う機会は減ってしまう。

この曲は、悩んだ時に感じたことこそ大切にするべきだと教えてくれています。

歌詞を読めば、日々の生活で忘れがちなことを再確認できるでしょう。

あなたも出口のない迷路に迷い込んだ時には、この曲を聴いてパワーをもらってください。