都はるみスーパーヒット曲「好きになった人」
スーパーヒット曲。
大げさな表現です。
でも、当時の雰囲気はまさにその通りだったのです!
歌の得意な女の子なら一度はまねしたはるみ節。
ダイナミックなこぶしはキリっとした女性像を感じさせてくれます。
「好きになった人」はこのこぶしにピッタリな歌詞です。
都はるみの力強い歌を思い浮かべながら歌詞の解説を堪能してください。
「好きになった人」歌詞1番
ヒット曲の要素にキャッチーなフレーズは欠かせません。
いきなりの“さよなら”はまさにキャッチー!
1番はまさに歌いだしから全力疾走です。
1番Aメロ
さよなら さよなら 元気でいてね
好きな二人は いつでも逢える
出典: 好きになった人/作詞:白鳥朝詠 作曲:市川昭介
当時は高度経済成長真っ盛り。
日本各地の男子は、都市部や工業地帯へ就職に向かいます。
就職列車という言葉があるくらいの時代です。
早く一人前の男になって私を迎えに来て。
別れに涙は禁物。
好きあっているからこそ彼氏の前途を祈って明るく送り出す。
いつでも会えるのだからと自分に言い聞かす彼女。
まるで昭和の青春映画のワンシーンです。
昔、就職列車で上京した方に聞きましたが、希望よりも不安の方が多かったそうです。
そんな彼氏を励ますように気丈にふるまっている姿。
そんな気持ちが“さようなら”の繰り返しに表れています。
1番Bメロ
たとえ別れて 暮らしても
お嫁なんかにゃ 行かないわ
出典: 好きになった人/作詞:白鳥朝詠 作曲:市川昭介
離れ離れになってもずっと待っています。
きっぱりと彼氏に伝える彼女。
だから安心して就職してください。
お見合いの話が来ても大丈夫。
(当時はお見合いが主流で、恋愛結婚はほとんどありません)。
安心して仕事に励んでください。
ここまで言われたら頑張るしかないですね。
なんて前向きな歌なのでしょう、と感動します。
1番サビ
待って 待って
待っているのよ 独りでいるわ
さよなら さよなら 好きになった人
出典: 好きになった人/作詞:白鳥朝詠 作曲:市川昭介
ここで彼女の本音がちらっと出てきます。
3回も“待っている”を繰り返すのは、実は別れがつらいから。
早く一人前になって迎えに来て。
本当はストレートに言いたいけれど、プレッシャーをかけたくない。
“独りでいる”という言葉に気持ちを込めて暗に訴えています。
“待っている”→“独りでいる”→だから早く迎えに来て!
というように気づいてほしいわけですね。
その気持ちを振り切るように明るく“さようなら”と手を振っているのですね。
素晴らしい彼女じゃないですか!
「好きになった人」歌詞2番
2番は女性の本音が爆発しています。
でもじめじめした感情ではなく、むしろ爽やかな感じさえします。
まるでジブリの青春映画のような…。
ちょっと言いすぎかな。
でもジブリは時代背景が結構古いものが多いので、近いかもしれませんよ。