戸惑う理由
主人公と「キミ」
あったかもしれない未来のこと
なかったかもしれない過去のこと
自分の姿を鏡に映し
キミは誰なの?と問いかけてみた
出典: Returns/作詞:中村航 作曲:上松範康(Elements Garden)
未来と過去を照らし合わせながら考えるのは自分がどんな存在であるかということ。
主人公はここで自問自答をしているのでしょう。
特に気になるのは、4行目の「キミ」です。
前述の歌詞パートまででは、主人公とは別の誰かを表していると思われる表現をしていました。
しかしここでは「主人公=キミ」なのではないかと感じさせる表現となっています。
つまり、主人公はもう1つの可能性としての自分を「キミ」と表していたのではないでしょうか。
過去に対して寂しさを引きずる自分と「キミ」。
どちらも同一人物ですが、他の未来を生きようとする自分のことを「キミ」という言葉で表したのでしょう。
戸惑う主人公
人波かきわけ
裸足のままで飛びだした
自分に嘘をつきたくないから
どうか あの夢の続きを みさせて
出典: Returns/作詞:中村航 作曲:上松範康(Elements Garden)
このパートから感じるのは主人公の戸惑いの感情です。
1〜2行目で描かれているのは、混乱した様子の主人公の姿。
そして、3〜4行目では何故主人公が混乱しているのかが分かります。
彼は夢を追う中である苦しみを抱えているのです。
それは自分の夢を追いかけるということに関しての苦悩なのでしょう。
自分への嘘というのは、その夢に対して嘘をつくということを表していると考えられます。
気持ちに濁りがある状態では、その夢を叶えることは難しい。
自分自身でそう感じながら、どうにか夢を追いかけたいと考えているのでしょう。
過去から生じる夢への気持ち
過去が原動力
どんなに空が永遠でも(forever sky)
たどり着く場所は たったひとつだけ
終わりのない迷路の途中(endless story)
大切な「過去」を拾い集めた
出典: Returns/作詞:中村航 作曲:上松範康(Elements Garden)
ここでも未来を意味する「空」という言葉が出てきているのです。
未来には無限の可能性があり、その中ではどれだけ意志を強く持っていても気持ちが揺らいでしまいます。
そんな気持ちの揺らぎを正してくれるのが、今までに経験してきた過去。
主人公にとって過去というのは、生まれ育った場所での出来事を表しています。
故郷での出来事というのは、自身のアイデンティティを構築した過去の出来事であるといえるでしょう。
不確かな未来に踏み出すため、彼にとって確かな過去の思い出が原動力となっているのです。
夢への決意
時を彷徨う歌 Returns(もう一度)
思い出と あの夢が交差した
本当の気持ちだけだった(もう一度)
運命と奇跡が混ざりあってた
出典: Returns/作詞:中村航 作曲:上松範康(Elements Garden)
このパートでは、主人公が自身の過去の思い出を振り返ることで夢に対しての決意を新たにしたことがわかります。
自分にとって大切な思い出の中にあったのは、夢に対しての強い想い。
それを過去を振り返ることで再認識したのでしょう。
そして今自分がいる状況というものの必然性というものに気づき、前へ進む決心がついた。
そんな彼女の心情が伝わってくる歌詞となっています。