RADWIMPS「DADA」
2011年発売のシングル
「DADA」は、2011年に発売されたRADWIMPSの12枚目のシングルです。
手数の多いドラム、バキバキにうねるベース、ヒステリックにかき鳴らされるギターにマシンガンのような絶え間ないボーカルが合わさって、攻撃的なミクスチャーロックに仕上がっています。
RADWIMPSの高い演奏技術が惜しみなく発揮されたこの曲は、「おしゃかしゃま」に並ぶキラーチューンとしてファンからの人気も高い作品です。
そんな攻撃的なサウンドに乗せて歌われるボーカル野田洋次郎の独特の哲学が反映された歌詞は、皮肉たっぷりに「人間」というものを描き出して聴く人に強いメッセージを投げかけてきます。
オリコン週間シングルチャートでは、見事1位を獲得しました。
収録アルバム「絶体絶命」
「DADA」はRADWIMPSの6枚目のアルバム「絶体絶命」にも収録されています。
近年のRADWIMPSの曲のテーマによく見られる「命」や「生きること」について歌った楽曲が多く収録されたこのアルバムは、オリコン年間チャートで25位を記録する大ヒットとなりました。
タイトルの2つの「絶」は糸色(いとしき)=愛しき、と変換され、「愛しき体、愛しき命」という意味が隠されています。
斬新で派手なMV
モノクロの景色の中、メンバーたちが歌詞の言葉を蹴散らしながら激しく演奏する姿が印象的なMVです。
作中に登場するこれらの文字はCG合成ではなく、実際にひとつずつ作られた木製のオブジェクトとなっています。その数は800個以上にもなったそうです。
無機質な世界観や飛び跳ねるように歌う野田洋次郎の姿は、「おしゃかしゃま」のMVと重なる部分もありますね。
ライブ映像も
「DADA」は、「絶体絶命」のリリースツアー時のライブ映像も公開されています。
CD音源そのままのような再現度の高さでくり広げられる演奏は、ただ正確なだけではなく会場全体を音の波で包み込む迫力、疾走感があります。
「DADA」の歌詞に込められたメッセージ
人の身勝手さを描く歌い出し
生きてる間すべて遠回り すべて大回り なのにそれなのに
近道探してみて 小回り お巡りに見つからないようにばかり
あげくの果ては拝み 神頼み 少しでも楽に 他人よりも前に
叶わぬと知るや否や嫌みひがみ鬼畜の極み 南無阿弥陀仏
出典: DADA/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
人間の身勝手さ、愚かさ、醜さを容赦なく描く「DADA」の歌詞。冒頭から攻撃的な表現がくり広げられます。
人生とは本来回り道ばかりで進んでいくもの。それなのに人はときに近道というズルをします。
さらには自分では苦労や努力をせずに勝手な神頼みをして、叶わなかったらまた勝手に不満を持ってひがむ。
そんな余りにも醜い人間の有様を生々しく描く言葉から曲は幕を開けます。
出口はひとつだけ
生まれた時すなわちそれが入り口 あとは誰しもが死ぬ時が出口
生きてることそれこそ回り道 長い暇つぶし そのものが命
なのに なぜに我先に 向かう先は出口とも知らずに
一抜けるために日々自分探し ならぬ肝試し 終いにゃうらめし
出典: DADA/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
本来は長くて退屈な「生きる」という行い。その有り余る時間をどう使い、何をして満たしていくかが「人生」というものです。
それなのに人は我先にと道のりを進み、自己中心的な自分探しをくり広げます。
「死」という出口が待っているとも知らずに生き急ぐ姿は、傍から見るととても滑稽なものでしょう。