もっと夢中になってほしい
違うそうじゃない そんなんじゃない
もっと綺麗にバタついて
ロマンチックに乱れてみせてよBABY
そんなもんじゃない 全然足りない
もっとキュートに苦しんで
出典: VIPER/作詞:塩野海 作曲:塩野海
主人公は気になっていた彼に、無事近づくことができたのでしょう。
すでに関係を持っているような表現が続きますから、すぐに意気投合できたのかもしれません。
しかし主人公はずっと心に違和感を抱えているようです。
彼に愛されていることより、その違和感に思考が支配されてしまっている様子が描かれていますね。
彼女には、彼が空っぽに見えていたのかもしれません。
身体同士が触れあっていても肝心の心が触れあっていない。心から愛されている実感が得られない。
そんな状況だったのかもしれませんね。
さて、この違和感の正体は一体何なのでしょうか。引き続き探ってみましょう。
主人公と彼の決定的な違い
彼との関係性に対して抱いた違和感の正体は、2人が求めるものの違いでした。
VIPERが求めたもの。それは歌詞にあった通りこれでしょう。
一度だけの瀬戸際味わうVIPER
夜が明けたら何処に消えてくのVIPER
出典: VIPER/作詞:塩野海 作曲:塩野海
つまりVIPERは永遠の愛、生涯続く関係性など求めていないというわけです。
安定感のある恋愛ではなく、たったひと時のスリルを味わい続けて生きていきたいのでしょう。
彼にとって愛は、自分の周りに溢れ続けるもの。女性が求めるたった1つの愛とは正反対です。
長く続くたった1つのものを求める女性と、次々に新しいものを求める男性。
愛は目に見えないものだからこそ、捉え方や求め方の違いがこれほど大きなすれ違いを生むのです。
主人公が彼に対して違和感を覚えていたのも、この感覚の差が原因でした。
それでも離れられない
雁字搦めに心を縛ってVIPER
意識途切れる寸前に囁くSWEET WORD
悪魔じみてる微笑みの裏 何を想うのVIPER
出典: VIPER/作詞:塩野海 作曲:塩野海
彼との感覚の差に違和感を覚えつつも、主人公はすでに彼の毒牙の餌食にされています。
つまりどんなに苦しくとも、彼から逃れることはできないのです。
ここの歌詞は、まさに彼が使用した毒の正体ともとれる内容が綴られていますね。
彼は百戦錬磨のプレイボーイ。
どうやって相手の心を掴めばいいか、どうやって夢中にさせればいいか熟知しています。
つまり1度関係を持ってしまえば、彼が捨てない限り離れることなど不可能に近いということです。
主人公も彼の術中にはまって、完全に抜けだせなくなっていますね。
3行目で彼の本心を窺うような言葉を漏らしていますが、相手への愛は消えていないように感じられます。
近づく別れ
受け入れたくない現実
「ちがうそうじゃない。そんなんじゃない。」
ふ、となにかに撫でられて アキメネスの花びらが一つ落ちた
ああ 何も見えない 聞こえない
気づかれないようにそっと水槽に沈められていたダイヤ
砂に埋もれ見えなくなったDESIRE
永遠に伝わることのないCYPHER
出典: VIPER/作詞:塩野海 作曲:塩野海
2行目、アキメネスとはロウト型の花をつける球根植物の名前です。花言葉は「大事な人」。
そんなアキメネスの花びらが散るということは、2人の関係性にも大きな変化が訪れることを示唆しています。
つまり彼は主人公との関係性をそろそろ終わりにするつもりでいるということ。
主人公は自分と彼が一緒に過ごせる時間の少なさを悟りました。だからこそ3行目の行動なのです。
彼の行動の小さな変化にも気がついてしまった主人公は、それらを考えないようにしています。
3行目はつまり、必死に現実から目を背けようとする主人公の行動だといえますね。