結成10周年のSAKANAMONを振り返る
2018年、結成10周年を迎えたSAKANAMON。
メジャーデビューしてからは約6年、アルバム5枚にシングル4枚とそれなりに作品もリリースしてきました。
「決して派手さはないけれど、我が道を行く」
そんなイメージの彼らが記念すべきこの年に取り組んでいることは、なんとドキュメンタリー映画の製作です。
売れなくてもいい?
ドキュメンタリー映画を製作したバンドと言えば史上に名を遺すような面々が名を連ねます。
しかし今回、SAKANAMONが制作するのは「サカナモンはなぜ売れないのか」というテーマで作られたもの。
自分で売れないと言いきってしまう清々しさ。
かつてこんなドキュメンタリーを作ったアーティストが居たでしょうか?
これには「売れたい!」という想いが込められているわけでもありません。
彼らは「売れなくてもいい」と思っているのです。
「一生バイトでもいいから、とにかく音楽を続けたい」
そんなことを語る彼らはどんな音楽を奏でるのか。
なんのために音楽を奏でるのか。
この記事では楽曲を通してその真意に迫っていきます。
メジャーデビューアルバム「na」より
今回紹介するのはSAKANAMONのメジャーデビューアルバム「na」に収録されている「ミュージックプランクトン」という楽曲。
アルバムタイトルの「na」にはおかずを総称する「な」の意味が込められているといいます。
これはSAKANAMONの音楽のテーマから来るもの。
「酒の肴、生活の肴になるような音楽を届けたい」というそれは、バンド名にも表されています。
お気に入りを集めたプレイリストのような
自分の好きな楽曲を集めたプレイリストが酒の肴、生活の肴になっていたというヴォーカル、藤森。
「お気に入りを集めたプレイリストの曲が全て、一つのバンドのものだったらいいのに」
彼はそういった想いからバンドをやろうと思い立ったといいます。
だから彼らの奏でる音楽は常に「自分たちの好き」に基づいているのではないでしょうか。
売れる売れないは度外視して、ただ好きなものを追求する。
その感性に共感する人だって当然います。
そういう人たちの生活に彩りを添えるのが彼らの望むことなのでしょう。
これはメジャーのアーティストとしては決して大それたことではありません。
ただ彼らは大衆に受けるよりも、自分たちの素の感性に共鳴する人たちを求めているということなのでしょうね。
これは幸せに音楽を続けていくために選んだ彼らなりの価値観でしょう。
「ミュージックプランクトン」はこんな曲
続いて「ミュージックプランクトン」という楽曲についてを見ていきましょう。
曲調としてはシンプルなギターロックといった感じですが、至る所に独特のセンスが散りばめられています。
一体感のあるサウンド
まず耳に付くのは歯切れの良いギターから始まるイントロ部分。
ギターフレーズのセンスの良さもそうですが、それを支えるドラムとベースも完成されたものです。
ここだけではなく1曲通して、塊のようなグルーブでバンドの一体感を感じさせてくれますよ!
それぞれを引き立てる楽曲構成
ラップ風の歌いまわしを聴かせるAメロ部分。
藤森の声質も相まってラフなイメージに心地良く響きます。
続くサビ部分ではドライブ感のある低音のメロディを展開。
リズミカルなAメロとのコントラストがそれを際立たせ、楽曲を疾走させます。
このサビ部分が効いてくるのが最後のCメロです。
ここに来て唯一声を張り上げるように歌う藤森。
抑えられたサビの雰囲気があってこそ、この部分がより劇的に感じられるのではないでしょうか。
シンプルなように見えて、それぞれの部分を引き立てるようによく練られた1曲となっていますね!