GLAYは感謝を忘れない
あたり前を大切にしてきたバンド
『ありがとう』
感謝を伝えるときにはとてもあたり前の言葉なのですが、このあたり前を表現し続けて行くのは難しいものです。
そんなあたり前のことを大切にしてきたバンド。
それがGLAYです。
家族に対しても、ファンに対しても、スタッフさんに対しても、その感謝の気持ちを常々表現されています。
これはライブやインタビューなどからでも伝わってきます。
地元への感謝や恩返しを込めて函館でライブをする、というのもその良い例ですね。
そんなGLAYだからこそ『SPECIAL THANKS』という曲は幅広いリスナーの心に届いたのだと思います。
『とまどい』との両A面シングルとしてリリースされた名曲
『SPECIAL THANKS』は、2000年に『とまどい』との両A面でリリースされた20thシングル。
失恋という切ないテーマを叙情的な歌詞に昇華させ、感謝で締め括ったスケールの大きな曲です。
言葉選び、転調による盛り上げ、どれを取ってもTAKUROさんの世界観がいかんなく発揮されています。
このシングルの1曲目には『とまどい』が収録されています。
しかしTAKUROさんとしては、1曲目は『SPECIAL THANKS』にしたかったという程、想いの詰まった曲です。
幸せな思い出を詰め込んだ回想で綴るAメロ〜Bメロ
過去を振り返り、そこに見える幸せな日々を回想するAメロ
道の向こうに戻れない夏がある
あんなに激しくゆれるまま夢中になった
出典: SPECIAL THANKS/作詞:TAKURO 作曲:TAKURO
道の向こうといえば、先や前方、進行方向、もしくは反対側を思い浮かべると思います。
しかし『戻る』とセットで表現していることから、ここでは過去を振り返っていると取れます。
現在地点から過去を振り返って、夢中になった『夏』を回想しているのがこのシーンですね。
曲の出だしの導入部分。
これから過去を振り返るということを表現しています。
さめて欲しくなかったと嘆く悲しきBメロ
流れる汗をぬぐおうともせず 抱きしめ合った
真夏を駆ける肌の熱さよさめぬままで
出典: SPECIAL THANKS/作詞:TAKURO 作曲:TAKURO
汗を拭うことすら忘れる程に互いを求め合った過去を、短い夏と絡めて綴られています。
注目すべきは、あえて漢字ではなく平仮名で表記されている『さめて』という言葉。
様々な解釈があると思いますが、一般的には下記のような感じかと思います。
- 体温や対象物の温度が高く、その熱さが冷えるとき=冷めて
- 気温的な暑さが冷えるとき=冷めて
- 夢から覚醒するとき=覚めて
しかし、歌詞では平仮名表記になっています。
この表現から見て取れる個人的な解釈は、下記の通りです。
短い夏が秋へと向かうとき、暑かった気温が下がり始める。
これと時期を同じくして、図らずも相手の恋愛感情が冷めてきたことに気付いてしまった。
このままでは夏の終わりのように儚い夢から覚めてしまう。
自分に対する恋愛感情が冷めて欲しくない。
夢のようなこの時から覚めたくない。
それ程までに相手のことを愛していた、という想いの深さが表現されていると思います。
その様々な意味を込めて、『さめる』を平仮名表記にされたということなのでしょう。
ここで語られる想いの深さや大きさが、この後の展開でのベースとなっています。
歌詞にすればたったの2行ですが、この文章にそれだけの想いが込められているのです。