そして「グリースガン」は、機械に潤滑油を注入するための道具。

メンテナンスのために用いられます。

ここまで描かれているのは、とにかく「この車はゾクゾクする!」ということ。

それを、一つ一つ挙げながら「ここがイイ」「ここが素敵」と興奮気味に語る人の姿が目に浮かびます。

とことん好きなものがある方には、「わかる!」と思う部分もあるのではないでしょうか。

描かれている愛は、比喩か?

映画の中の「I'm In Love With My Car」

QUEEN【I'm In Love With My Car】歌詞和訳&意味解釈!恋人より大事な愛とはの画像

ところで、映画「ボヘミアン・ラプソディ」でも、この曲が作られた時の話が出てきます。

映画の中のブライアン・メイは、ロジャーの前でこの曲の歌詞を皮肉混じりに口ずさむのです。

からかわれたロジャーは「これは比喩だ」と反論します。

つまり、車のことを語っているように見せて、実は暗に人間の女性のことを表現しているというのです。

実際の意図は

そう考えて再読してみると、なるほどそんな気もしてきます。

実際のロジャーがそういう意図であったのかは不明です。

けれどどちらにせよ、好きなもの、夢中になっているものを思い浮かべる時、こんな風に熱くなってしまう。

そんな彼の「愛」の強さが現れた歌詞ですね。

車とは別の「愛」

立ちこめる不穏な空気

Told my girl I'll have to forget her
Rather buy me a new carburetor
So she made tracks saying this is the end now

出典: I'm In Love With My Car/作詞:Roger Taylor 作曲:Roger Taylor

ところが、そんな「夢のマシン」を手に入れた主人公に、暗雲が立ち込めます。

それは、人間の「彼女」の存在です。

「お前のこと忘れたい」って彼女に言ったんだ
「それか、新しいキャブレター買ってくれよ」って
彼女はサッサと行っちまった
「これで終わりよ」って言い残してね

出典: I'm In Love With My Car/作詞:Roger Taylor 作曲:Roger Taylor

別れる、でなければ…

「キャブレター」はエンジンに燃料を供給する部品の一つ。

この部品の調整のしかたにより、エンジンの性能が決まります。

額面通りに受け取ってみると、ひどいシーンのようにも見えます。

別れ話を持ちかけつつ「別れたくなかったらプレゼントを買ってくれ!」と言っているようなのですから。

人間と車を天秤にかけているように聞こえてきます。

彼女も怒って去るのは当然かもしれません。

比喩だとするならば

ただ、先ほどのように「人間を車に例えている」と考えるとどうでしょう。

キャブレターの調子がよくなければ、エンジンに燃料がうまく供給されません。

「新しいキャブレターを買ってくれれば」ということ。

それはつまり、現在、主人公の気持ちのエンジンが最大限の性能でないということ。

つまり、彼女に対しての気持ちが、前よりも動かなくなってしまったのです。

「新しい刺激をくれたら、気持ちも再燃するかもしれないけど」。

そんな試すような、あしらうようなフレーズとしてもとれるというわけです。

どちらにせよ、そんな言葉をかけられてまで、彼にすがるような彼女ではなかったようですが。

車への愛を

車に乗っていれば

Cars don't talk back
They're just four wheeled friends now
When I'm holding your wheel
All I hear is your gear
When I'm cruisin' in overdrive
Don't have to listen to no run of the mill talk jive

出典: I'm In Love With My Car/作詞:Roger Taylor 作曲:Roger Taylor