2000年代を嘘が覆い
イメージの偽装が横行する
みんな一緒に騙されてる 笑
出典: 彗星/作詞:小沢健二 作曲:小沢健二
小沢健二は2000年代に、音楽家としての活動をほとんど行っていません。
音源の発売やライブ活動も10年間ほとんどなく、テレビなどのメディア出演に至っては一切なし。
思うところがあっての行動だったのでしょうが、多くのファンはそんな彼を心配していたことでしょう。
表に出ない所で彼なりの活動を続けていたようですが、そんな2000年代をこのような形で歌詞に描いています。
嘘や偽装といった言葉からは、あまりプラスのニュアンスは受け取れませんね。
しかし、歌詞の最後には(笑)を思わせるようなお茶目さや皮肉とも取れるような表現も。
今の彼にとっては、もしかしたら全てがマイナスの年月ではなかったのかもしれません。
だけど幻想はいつも崩れる
真実はだんだんと勝利する
時間ちょっとかかってもね
出典: 彗星/作詞:小沢健二 作曲:小沢健二
しかしその暗黒の00年代とも呼ぶべき10年を抜けた後に、彼は徐々に活動を再開させていきました。
彼を覆っていた嘘や偽装が、徐々になくなっていったことがこの部分では表現されているようです。
00年代の活動や暮らしの中で、いつかこんな未来が来ると彼は知っていたのでしょうか。
いくら稀代の音楽家小沢健二であっても、自分の未来を予測できるわけはありません。
きっと当時の彼は、今のような明るい自分の未来の姿はもしかしたら想像もしなかったでしょう。
辛いことに耐えながら、もしかしたら時には未来を諦めながら。
それでも10年を乗り越えた彼が、まるで当時の自分に諭すような口調で、歌詞は描かれています。
永遠に続く時間はない、だからこそ
今ここにあるこの暮らしでは すべてが起こる
儚い永遠をゆく 波打ち砕ける
真っ暗闇を撃つ 太陽みたいに
とても冴えた気持ち グラス高くかかげ
思いっきり祝いたいよね
出典: 彗星/作詞:小沢健二 作曲:小沢健二
止まない雨もないし、明けない夜はない。苦しみは永遠に続かない。
00年代の10年間を経た彼は、きっと身に染みてこれらの言葉を実感したのではないでしょうか。
そんな彼の思いが、永遠を砕く波や暗闇に刺す太陽の光として表現されています。
ですが、永遠に続かないのは幸せな時間も同じ。
だからこそ、幸せな時間は思い切りその幸福感に身を委ねよう。
晴れ渡る自らの心を、存分に生き生きとさせよう。
そんな彼の幸福な思いに満ちたメッセージも読み取れるように感じますね。
たくさんの奇跡に囲まれているのは小沢健二だけじゃない
たくさんの奇跡を携え音楽を奏でる喜び
今遠くにいるあのひとを 時に思い出すよ
笑い声と音楽の青春の日々を
再生する森 満ちる月 続いてゆく街の
空を横切る彗星のように
出典: 彗星/作詞:小沢健二 作曲:小沢健二
当時20代だった彼は、多くの素晴らしい人々に囲まれ音楽活動を行っていたと語っています。
彼にとってとても幸せで有意義で、満ち足りた時間だったあの頃。
この曲を書きながら、当時のこともたくさん思い出していたのでしょう。
その時の人との出会いや、音楽との出会い。
先ほども述べたように、それらの出会いはすべて奇跡のような確率で成り立っているものです。
そのたくさんの奇跡の積み重ねが、今現在の彼を形造っているといっても過言ではないかもしれませんね。
あふれる愛 止まらない泉
はるか遠い昔 湧き出した美しさは ここに
出典: 彗星/作詞:小沢健二 作曲:小沢健二
これまで出会った人々や音楽に対して抱いた大きな愛。
そしてその愛を源泉として、今の彼からは音楽のインスピレーションが湧き出るように溢れ出ているのでしょう。
50歳を超えた今、改めてこれまでの出会いに感謝したことも、きっとあったのではないかと思います。
遠い未来のようにも思えたこの2020年という時代に、音楽家として活動できている喜び。
そんな彼の思いが、楽曲を通して伝わってくるようですね。
あなたの周りにも奇跡は溢れてる
今ここにある この暮らしこそが宇宙だよと
今も僕は思うよ なんて素敵なんだろうと
澄む闇 点滅する赤い light 脈を打つよ街と
空を横切る彗星のように見てる
出典: 彗星/作詞:小沢健二 作曲:小沢健二
彼を取り巻く奇跡は、実はこの世に生きるすべての人にも与えられているものです。
ですがその奇跡に気づくことなく、無為に日々を過ごしている人も多いのではないでしょうか。
今のあなたは、これまであなた自身が選んできた無数の過去の選択で作られている存在です。
今の自分に満足しないことを、人のせいや周囲の環境のせいにしたりしていませんか?
自分を変えられるのは自分だけです。
誰もあなたのことを変えてくれませんし、変えることはできません。
今の自分はこれまでの自分の積み重ねであり、未来の自分はこれからの自分の積み重ねで変えていける。
それに気づくことができれば、今見ている景色の見え方も一変するはずです。
あなたが住む街にも、そんな奇跡の積み重ねで出来た人たちがたくさんいます。
街の景色に輝く光の1つ1つが、そんな奇跡を積み重ねた存在。
それらが集まったこの街の景色が、どれだけ天文学的な確率で存在しているのか。
途方もないくらいの数の奇跡が今この瞬間にも溢れていることを、お分かり頂けるでしょうか。