願いは叶うことなく

沈んでゆく想い

波に逆らえず沈んでゆく
宴の準備は無駄だった

出典: Viking/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴

沈んでゆく僕。

君への思いは遂げられなかったことが突きつけられます。

うまくいったときはこうしよう、と心の中で思い描いたさまざまな幸せ。

それはヴァイキングが宝を手に入れて戻ったときのような栄光に満ちたものだったのでしょう。

けれどそれは叶うことはなく、無駄に終わってしまったのです。

宝が意味するものとは

嫌いじゃないのに
バイバイしなくちゃ
宝は置いてきた
航海は続いてゆくけど
君が僕を置いてった

出典: Viking/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴

僕と君は、決して嫌い合っているわけではないことがわかります。

どちらかといえば惹かれ合っていたはずの二人。

けれど結ばれることはなく、別れなくてはならなくなったことが伝わってきます。

航海は僕の人生そのものを指していると読み取れます。

その中で「置いてきた」とされる宝。

それは手に入れることなく諦めた恋を指しています。

見つけられなかったわけではなく、あえて「置いてきた」と表現される宝。

それは一度は見つけたけれど手に入れられなかった、という意味合いを感じさせます。

そこから考えると、僕と君との恋は一度は叶うように見えたのでしょう。

けれど二人はすれ違ってしまった。

僕が別れを選んだわけではないのでしょう。

「置いてった」の主体として語られるのは

君が僕を選ばなかった、そんな悲しい思いが伝わってきます。

なぜ君は僕を置いていってしまったのか。

それに注目しつつ、この後の歌詞も読み解いてみましょう。

どちら付かずの問いの答えとは

時に救いになるとしても

蓋を開けてみれば
それなりに見えるが
どちら付かずのラブが
時に救いになる

出典: Viking/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴

蓋を開ける、つまり実際の状況をきちんと見据えてみることを指しています。

そうやって実情を見定めてみれば状況はそうも悪くないようです。

決して望みがないわけではないのでしょう。

可能性が全く絶たれたわけでもないという状況は救いでもあります。

けれどラブの行方をはっきりさせようと思えば勝負に出ないわけにはいかないのです。

どちら付かずの答えは悲しく

縁に運を賭けて
見えぬヒビで負けるが
どちら付かずのmoneyは
金と呼べるのか

出典: Viking/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴

ここで出てくる「money」とは何を意味するのでしょうか。

恋の歌に突然出てくる「お金」という言葉を「賭け」というモチーフから考えてみましょう。

ここからわかってくるのは、僕は「何かに賭けて負けた」ということです。

僕は「縁がある」ということを頼りにして賭けに出た。

けれどその賭けには負けたのです。

賭けで負けて失うものが「お金」。

だとすれば、ここでの「money」は「君との恋」の比喩であるといえます。

ここまで何度も繰り返されてきた「どちら付かず」。

どちら付かずのものはあると言えるのか?という問いが繰り返されています。

「どちら付かず」である以上、完全に無いわけではないのでしょう。

けれど、僕は「ラブ」という宝を手に入れられず、賭けには負けている。

つまり「どちら付かず」だったものは「手に入らない」という答えを僕は感じているのです。

目的地の在処は

明けることのない夜