『CARROTS』
『STiCKS』との関係性
今回ピックアップするのは「新生クソアイドル」改め「楽器を持たないパンクバンド」BiSHです。
もはやハードコアパンクとしか思えないEP『STiCKS』に驚いた方も多いことでしょう。
そんなBiSHが間髪入れず発表したのがApple Music独占配信のミニアルバム『CARROTS』です。
『CARROTS』には初期BiSHを思わせるメロディアスな楽曲ばかりが4曲収録されています。
さて、この『STiCKS』『CARROTS』という並びでお気づきになることがないでしょうか?
そう、英語で「アメとムチ」のことを「carrot and stick」というのです。
5thアルバム『CARROTS and STiCKS』からの先行配信!
懸命な清掃員の皆さんには周知の事実ではありますが...。
この2作品はBiSH通算5作目(メジャー3作目)のアルバム『CARROTS and STiCKS』への布石です。
「#BiSHアメトムチ」と題されたトレイラー映像でもすでに告知されていました。
そこで今回は『CARROTS』に収録された「売れる」「かっこいい」楽曲を全曲解説!
そこに秘められた想いを探ってみようと思います。
1.『I am me.』
「もしBiSHじゃなかったら?」のパラレルワールドを描いたMV
目指した未来見失って
泣いたり
考えたり
そんな僕がこのまま
果てしない前進を
二度とない日々を駆け抜けろ
出典: I am me./作詞:松隈ケンタ,JxSxK 作曲:松隈ケンタ,JxSxK
1曲目に収録されているのはリード曲の『I am me.』。
このキャッチーなパワーポップナンバーはあまりにも有名です。
「もしもBiSHじゃなかったら、どんな未来が待っていた?」
こんなテーマ設定で演出されたMVも話題になりました。
サムネイル画像に映る架空の7人目のメンバーは田中真琴さん。
『プロミスザスター』のMVで全力疾走していたショートカットの少女です。
彼女の起用、そして歌詞で描かれる内容は異世界の『プロミスザスター』だといえるでしょう。
シンプルなアレンジと強固になった各自の個性
綺麗事ばっか言ったって
しょうもないかっこ悪い
あんま言わない言葉さ
僕は僕だ
出典: I am me./作詞:松隈ケンタ,JxSxK 作曲:松隈ケンタ,JxSxK
壮大なオーケストレーションが印象的だった『プロミスザスター』に比較しより削ぎ落されたアレンジ。
これは『CARROTS』の収録曲に共通するもので『STiCKS』との対比構造を浮き立たせています。
『プロミスザスター』当時はアイナのワンマン的評価が強かったBiSH。
しかし『I am me.』ではアユニ・Dの歌声に見られるように各自の個性がより強固な物になっています。
またMVでも描かれているように肩を押してくれるような前向きな歌詞も特徴です。
メンバーが扮する営業職、バンドマン、保育士、美容師、そして主婦。
どんな生活にも不安や迷いは付き物です。
しかし人生は一度しかない。
だから“今”を大切に生きていこうというBiSHなりのエールソングでもあります。
2.『まだ途中』
モモコグミカンパニー作詞曲
2曲目に収録されているのは爽快なメロコアナンバーの『まだ途中』。
WACK関係楽曲の作詞作曲はメンバー・関係者を含む公募制になっているのは周知の通りです。
その中でも群を抜いて作詞曲を提供しているのがモモコグミカンパニー。
『まだ途中』の作詞もモモコグミカンパニーが手掛けています。
住野よるを敬愛する彼女は文筆家としての顔も持ち合わせたマルチアイドルなのです。