再びサビです。 明日がどうなるか誰も知らない、と歌われています。 では、「誰かの為に生きてみても」とはどういうことでしょう。 それが、いいことなのかどうなのかは書かれていません。 私なりの解釈ですが、別に「人のためになるように生きなさい」と言っているわけではないと思います。 どちらかというと、「誰かの生きてみるのもたまにはいいよね」くらいの意味だと思います。 だから、逆に、「たまには自分のために生きてもいいよね」と捉えることもできると思います。 つまり、未来は誰にもわからないんだから、もっと気楽に、心を軽くして、自由に生きていこう。 自分の思うがままに、あるがままに生きていこう、というような解釈ができるのではないでしょうか。

優しさだけじゃ生きられない
別れを選んだ人もいる
再び僕らは出会うだろう
この長い旅路のどこかで

出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=54853

一行目の歌詞は、二番のBメロにもリンクしています。 「今より前に進むためには 争いを避けて通れない」という部分です。 戦うことも、時には必要だということでしょう。 そして、ここでは「別れ」というキーワードも出てきます。 人によっていろいろな別れがあると思います。 例えば、恋人との別れもそうですし、過去の自分との別れということも考えられます。 主人公にとっては、「分かり合えた友」のことも含まれているのかもしれません。 しかし、別れたからといって、二度と会えないわけでもありません。 人生はまだまだ長いのだから、どこかでまた会えるよ、と歌われています。 サビでも感じたような、気持ちを軽くしてくれるような、楽観的とも言えるような精神が再び感じることができます。

果てしない闇の向こうに oh oh 手を伸ばそう
癒える事ない傷みなら いっそ引き連れて
少しぐらい はみだしたっていいさ
oh oh 夢を描こう
誰かの為に生きてみたって oh oh
Tomorrow never knows
心のまま僕はゆくのさ 誰も知ることのない明日へ

出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=54853

最後のサビです。 歌詞は繰り返されている部分も多いですが、違いもあります。 例えば、「癒える事ない痛みなら いっそ引き連れて」というところ。 これは、一番の歌詞の「償うことさえできずに今日も傷みを抱き」というところにつながってきます。 後悔の気持ちがなかなか消えないようだったら、一緒に抱えて進めばいいんだ。 だって、人はいずれは忘れていくものなんだから。 無理して消す必要はないよ、と言ってくれているような気もします。 さらに、一度は諦めてしまった夢をもう一回みてみるのもいいよね。 他の大きな夢を追うのもいいよね、とも言ってくれているように思えます。 とにかく、どうせ明日のことは誰にもわからないんだから、もっと気楽に、心を軽くして、自由に生きていこう。 自分の思うがままに、あるがままに生きていこう、と再び歌いかけてくれているように感じます。

PV

ちなみにですが、PVはおもに海外で撮られたようです。 心が軽くなるような歌詞の印象とは程遠いような、断崖絶壁の印象的なシーンはオーストラリアで撮影されたらしいです。

ドラマに合わせた裏解釈

Mr.Children「Tomorrow never knows」の歌詞の意味を紐解くの画像

ここまでは表面上から感じ取れる明るく爽やかな解釈として見てきました。

しかしドラマに重ねてみると別の解釈が出てきます。

その解釈をこれから見ていきましょう。

若者の裏切り

Mr.Children「Tomorrow never knows」の歌詞の意味を紐解くの画像

ドラマ『若者のすべて』はいわゆる映画アウトサイダー』を日本のドラマとして解体・再構築した物語といわれます。

キャストもとんでもなく豪華。

主演の萩原聖人を中心に木村拓哉・深津絵里・鈴木杏樹・武田真治と一流の方々ばかりです。

そのような人達が演じたドラマはとにかく苦しい絶望の中で生きるか死ぬかの葛藤を抱えながら生きる若者達の姿になります。

主人公は何度も物語の中で裏切りや不義理に遭い、時に暴力沙汰にまで発展するという壮絶な経験をするのです。

そうした「明日も生きられるかどうか分からない」という状況を切々と歌い込んでいます。

達観した振り返り

その上で非常に面白いのはこの歌が「達観した振り返り」であるということです。

ややノスタルジックな「あの頃の自分」を振り返りつつ、それを中立的に捉えています。

歌詞だけを見ていくと、確かに「無邪気に人を裏切れる程」「償うことさえできずに今日も傷みを抱き」。

…と、消極的なイメージがあるでしょう。

しかしそれに主人公が良かったか悪かったかの答えを出すことはありません。

「心のまま僕はゆくのさ 誰も知ることのない明日へ」と締めくくります。

この「心のまま」という言葉を前向きと取るか後ろ向きと取るかでだいぶ解釈は違ってくるでしょう。

しかし、誰かの為に生きることも自分の為に生きることも全ては後になってみないと結果が分からないものです。

だからこそ、この歌が過去の傷を癒やして前に進むという解釈は間違いではないものの、やや一義的でありましょう。

歌詞の主人公は少年

Mr.Children「Tomorrow never knows」の歌詞の意味を紐解くの画像

その中立的な視点を踏まえた上で、ではこの歌詞の主人公が誰かですが、実は井ノ原快彦演じる少年なのです。

そう、この歌は主人公の原島哲生でも上田武志でもなく、最終話でその2人を刺した少年の残酷な物語です。

表面上人を裏切った武志の壮絶な物語だと見せておいて、実は最後の最後で少年のカットで物語を締めくくります。

この衝撃的な結末は当時凄まじい反響を呼びました。

お陰で少年を演じた井ノ原快彦は当時キムタクファンをはじめ様々な人から批判を食らったようです。

当時のキムタク人気はメインカルチャーの象徴になるほど素晴らしく、他の追随を許さない格好良さがあったのです。

親友を守るために裏切りや不貞を働いているのに、奥底で義理と筋は通す男。

それをあんなに格好良く演じられたのは木村拓哉だけでしょう。

その木村拓哉を最後にナイフで刺して「負けるわけにはいかねえんだよ!」と捨て台詞を吐いて逃げるのです。

最終話のタイトルが歌詞にもあるように「誰も知ることのない明日へ」ですが、これはあの少年のことを指しています。

こうみると全ての歌詞が1本の線で繋がっていくのではないでしょうか。