ポルノグラフィティのデビュー20周年を飾る「VS」
記念すべき50枚目のシングル
「VS(バーサス)」は、ポルノグラフィティの50枚目となるシングルです。
50thシングルだけでもおめでたいですが、ポルノグラフィティのデビュー20周年を象徴する曲でもあります。
デビューしてから20年も活動を続けることも、50枚もシングルを出し続けることも両方凄すぎですね…。
そんな「VS」はポップで明るく、なんともポルノグラフィティらしさ全開の曲ではないでしょうか。
PVも二画面で街中を歌いながらぶらぶらしているポルノグラフィティのお二人。
「VS」というタイトルだと、なんだか激しくて熱い曲のように感じられます。
対決を意味する言葉だからかもしれませんね。
しかしこの曲は、タイトルが持つそういったイメージとはまったく違うのです。
いったいどこが「VS」なのでしょうか。
歌詞の意味を考えてみましょう。
アニメ『MIX』OP曲
「VS」はアニメ『MIX』のOP曲でもあります。
『ナイン』や『タッチ』を描いてきた、あだち充さんの漫画を原作としたアニメです。
『タッチ』と同じ舞台なので、ファンの人は喜んだのではないでしょうか?
実はポルノグラフィティのお二人もあだち充さんの大ファンなのだとか。
自分の好きな作家さん原作のアニメに自分の歌が使われるなんて、まさに夢のようなお話ですね。
「VS」は20周年で50枚目のシングルという区切りという側面もあり、『MIX』に絡めた要素も加わっています。
ポルノグラフィティにとって、「VS」は本当に様々な要素を含んだ曲になったことでしょう。
あの日見た幻
蜃気楼の思い出
あれは遠い夏の日のシンキロウ
こだまする友の声
ほら うつむき街を行く人もみな
かつての少年 見違えたろ?
出典: VS/作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一
昔過ごした、ある夏の思い出から歌詞は始まります。
思い出と友達と一緒に遊んだ記憶が、「シンキロウ」のように思い出されるのでしょう。
大人になった自分が子供だった頃の記憶を振り返り、感傷に浸っているのですね。
4行目の歌詞から察するに、彼は幼い頃の自分なのだと解釈できます。
もっともこの「少年」は、歌詞の主人公だけではありません。
3行目にある忙しそうに街を歩いている人だって、皆かつては子供だった筈です。
この部分の歌詞は、「誰にでも子供だった頃の思い出がある」ということを表しているのではないでしょうか。
頭上にある空
雨上がりのグランドで ぎゅっと目を閉じれば
遥かばかり見た あの日の青空
出典: VS/作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一
「雨上がりのグランド」は、野球を思わせます。
タイアップの『MIX』と絡めているのかもしれません。
このグランドは昔からあるもので、今の自分と昔ここで野球をしていた自分を繋いでいるのです。
少年だった頃の自分も、今のように空を仰ぎ見たことがあるのでしょう。
そして今、大人になった自分も同じく空を見上げている。
一瞬目をつぶることで、昔にタイムスリップしたような気分になります。
それだけこのグランドも、その上に広がる空も変わっていないわけですね。