そうか あの日の僕は今日を見ていたのかな
こんなにも晴れわたってる
バーサス 同じ空の下で向かいあおう
あの少年よ こっちも戦ってんだよ

出典: VS/作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一

今自分が過去にタイムスリップしたように、昔の自分もまた今という未来に来ていたのかもしれません。

グランドと青空が未来と過去を繋いでいるわけですから、過去から未来へ行くこともできるでしょう。

時空を繋ぐ空の下で、大人の自分と子供の自分が向かい合います。

ここでいう「VS」とは、大人の自分VS子供の自分ということなのです。

子供の頃の自分はこのグランドに立ち、野球の試合で戦っていたのでしょう。

大人になった今の自分は、野球とはまた別の意味・別の場所で戦っています。

大人の自分と子供の自分は、どちらが優れているかというものはありません。

本来は争う必要すらないものです。

今の自分が、あの頃の自分に負けない自分でいられているだろうか。

主人公は過去の自分を負かせるのではなく、今の自分を客観的に確認したくて対峙しているのでしょう。

過去の自分はどんなふうに映る?

「VS」は自分同士の対決ということが判明しました。

意外と、誰にでも起こり得そうなことをテーマにしていたのですね。

大人になった後に見る子供の頃の思い出は、どんな風に感じられるのでしょうか。

守られない約束

夜ごと君に話した約束たち
今も果たせずにいて
邪魔するのは他人のこともあれば
意気地のない自分だったりした

出典: VS/作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一

遠い日の夜、友人らと語り合って何か約束をしたようです。

しかしながら、現時点でその約束が守られることはありませんでした。

そのことを、大人になった自分は不意に思い出したのかもしれません。

約束した筈の友人に対して罪悪感か、後ろめたさのようなものを感じているのでしょう。

果たせなかった理由も様々あるようです。

誰かに阻まれてしまったこともあれば、自分に原因があることも。

勇気が出なくて、挑戦できなかったのでしょう。

ポルノグラフィティの曲には、度々こうした「果たされない約束」という歌詞が登場します。

「ダイアリー 00/08/26」や「ひとひら」など。

ポルノグラフィティにとって、または作詞を担当した新藤さんに守れなかった約束があったのでしょうか。

メジャー20周年と50枚目という節目を飾る「VS」にも、どうしても入れたいフレーズだったのでしょう。

諦められない夢

問うまでもないだろう それは夢の羽音
耳に残ってる そう一縷の想い

出典: VS/作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一

約束というのは、「将来こうなりたい」というも含んでいたようです。

未来は無限大だと信じていたあの頃抱いていた夢。

無論、大人になった今でも忘れていません。

「自分には無理だ」と大人ぶってみせつつ、諦められない自分もどこかにいるのでしょう。

夢を叶えられたら、果たされなかった約束も果たせるのでしょうか。

ですが大人になった今からそれを追いかけるのは、なかなか難しいようです。

夢ばかり見ていたあの頃の自分

本当 気楽でいいな 無邪気に描いた地図
クレームもつけたくなるが
バーサス 準備はいいか せーので走りだそう
あの少年よ まだ期待してんだろ

出典: VS/作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一

大人になった自分から見た、子供の頃の夢を歌っています。

「大きくなったらこんな人になりたい」「こんな仕事をする」という、輝く夢が描かれているのですね。

今でこそ見ると、子供の頃の自分は現実を知らなかった分お気楽に見えたのでしょう。

あまりに非現実的で無責任で、「こんなこと実現できっこない!」と文句をつけたくなってしまうようです。

ですがそれは、子供だった頃の自分を憎んでいるわけではありません。

そんなキラキラして無責任なあの日の自分を、ライバルとして見られています。

今の自分を奮い立たせることができる存在なのでしょう。

まだ夢を捨てていない少年と一緒に、対決が始まります。

勝敗なんて幻でしかない

Come on winner. Come on loser. That is the vision.
Don’t hide it behind the clouds. It’s a shiny rainbow gate.

出典: VS/作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一