夕方頃から 降った雨の中
いつも以上に忙(せわ)しくなる街
子供達が 狐の嫁入りだとはしゃいでる
見慣れたこの街の 至る所に
出典: 君のまま/作詞:TAKUYA∞ 作曲:TAKUYA∞
晴れているのに雨が降ることを「狐の嫁入り」と言います。
随分長い間、この言葉を使っていなかったように思います。懐かしいです。
話がそれてしまいましたね。
では、歌詞の世界にもどりましょう。
TAKUYA∞が「天気雨」ではなく「狐の嫁入り」と表現したのには、何か理由がありそうです。
2行目「子供たちが~はしゃいでる」
彼女が居なくなる寂しさや彼女の未来を応援したい気持ち。
もしかしたら引き留めたい気持ちがあるのかもしれません。
そんな色々な気持ちが入り混じった感情を「狐の嫁入り」という言葉に込めているように思います。
晴れているのか雨が降っているのか、はっきりしない「狐の嫁入り」。
そんなはっきりしない天気と、同じようにはっきりしない彼の気持ち。
この2つがリンクしているように思います。
こんな天気の中でも、住み慣れた街にはいつものように人々が行きかいます。
そして、いつもと同じように時間が流れていきます。
明日、彼女が居なくなるというのに。
それでも、この街は何一つ変わらないのです。
離れていても変わらない気持ち
溢れる想い出が 心を砕く
逢えた喜びは言葉に余る
何処に居てたって 変わりはしないこと
分かったはずなのに 核心を告げずに
出典: 君のまま/作詞:TAKUYA∞ 作曲:TAKUYA∞
彼女が旅立ってもこの街の至るところに二人の思い出が残っています。
一緒に散歩した道、待ち合わせした駅の改札。
並んで座った映画館、買い物をした商店街。
彼女との思い出だらけです。
それを見るたび、彼は辛くなるのでしょう。
でも、その哀しい寂しい気持ちを抑えて彼女を送り出そうとしている彼。
そんな彼が本当に伝えたかったのは、彼女に出逢えて幸せだったこと。
離れても彼女に対する想いは変わらないということでした。
でも、それを言葉で伝えることはできませんでした。
それでも、彼女はそんな彼の気持ちを分かっていたかもしれません。
言葉にしなくても相手を想う気持ちは伝わるものですから。
彼の正直な気持ちは…
道ばたに咲いてた花
また明日だって咲いてると思ってたのに
今頬を撫でてくれた
この風は二度と戻らない wow
出典: 君のまま/作詞:TAKUYA∞ 作曲:TAKUYA∞
私たちの周りに居る人たち、周りにあるもの。
それらは、いつまでも変わらず自分の近くに存在し続けると思っています。
近しい存在であればあるほど、そう考えてしまいます。
でも、本当はそうではありません。
彼にとっての彼女もずっと自分の側に居るはずの人でした。
だから、彼は戸惑っているのです。
常識的に考えれば、彼女が選んだ新しい人生を応援すべきです。
そんなことは分かっています。
そして、今は別れても自分の気持ちは変わらないとも思っています。
強がっています。
でも本音は、このフレーズにあるんです。
2行目「~明日だって咲いていると~」
4行目「~戻らない」
彼女を失う不安感、消えない空虚感。
2度と戻れない彼女との日々を想うやるせない気持ち。
そんな感情が彼の今の正直な気持ちなんじゃないかと思います。
再び出会える日を待っている…
凍える夜は 想い出せばいい
色を変えて変わってくのもいい
いつかまた出会えるその日を
一日千秋(いちにちせんしゅう)のように
待ちこがれてるよ
心が晴れてくよ 成長して生きてくよ
溢れる想いは これからの為に 逢えた喜びは言葉に余る
何処に居てたって 変わりはしないから
君はそのままで 歩いて行けばいい
出典: 君のまま/作詞:TAKUYA∞ 作曲:TAKUYA∞
彼は切なくて、やるせなくて、空虚感と喪失感に包まれています。
それが本当の気持ちですが、いつまでも寂しい顔をしている訳にはいきません。
新しい道を歩き始めた彼女。
だから、彼はその門出を祝福してあげなくてはいけません。
最後は、精いっぱい明るく前向きな言葉で締めくくっています。
「成長して~」と言っています。
そうですね。
いつになるか分かりませんが、今度彼女に会った時恥ずかしくない自分でいようと思っているのでしょう。
素敵な彼女に出逢えたことに感謝し、いつかまた彼女に出逢えることを願っています。
ですから、二人の第1章はここで終わりです。
これから遠距離恋愛を始める訳ではありません。
一旦別れて、それぞれの道を歩み始めるのです。
二人がこれから前進するための「前向きな別れ」なのです。
何年後か何十年後か分かりませんが、二人の第2章を期待しています。
彼女の踏み出した新しい道と、これから彼が進もうとする道。
その2つの道が、またどこかで交わる日が来ることを願わずにはいられません。
最後に
UVERworldのバラード曲
いかがでしたでしょうか?
今回は、UVERworldの「君のまま」の歌詞の世界を紹介してきました。
UVERworldの曲は、元気や勇気をもらえるものが多いのですが、この歌詞は少し違っていました。
別れを受け止められず、戸惑う主人公の飾らない正直な姿に共感しました。
カッコよくないところが、良いと感じました。
疾走する元気いっぱいの曲もいいですが、切ないバラードもいいですね。
過去の記事にUVERworldの名曲を集めた記事や歌詞解説をしている記事を見つけました。
2点ご紹介しますので、是非ご覧になってくださいね。