CMタイアップ曲として誕生
ポップでキュート!
「NIGHT FLIGHT」は2009年4月、着うた配信限定ソングとして登場。
同年7月にリリースされた3rdアルバム「⊿(トライアングル)」の5曲目に収録されています。
それまでのPerfumeの楽曲と同様、打ち込みのリズムとシンセサイザーが躍動するテクノポップ。
森永乳業のアイスクリーム「エスキモーpino」のCMタイアップ曲として制作されました。
CMで流れた後、代々木第一体育館でのライブ「ディスコ!ディスコ!ディスコ!」で、フルバージョンをお披露目します。
CMと連動したPVでは、ポップなカラーリングとデザインの制服を着た「pino Air Lines」のキャビンアテンダントに扮した3人。
機内を回って「乗客」に愛想よくpinoを配る姿と、無機的で近未来風の振り付けがキュートです。
歌詞とコードは?
恋の始まりをイメージ
Cm Fm Gm
make a night flight
Cm Fm Gm
have a nice flight
A♭ Gm Fm Gm
make a night flight
A♭ Gm Fm
have a nice flight
Cm Fm Gm
ちっちゃい歯車まわして
Cm Fm Gm
くるくる かみ合う ふたりは
A♭ Gm Fm A♭ Gm D♭ Cm
321 で take off from the base
出典: NIGHT FLIGHT/作詞:中田ヤスタカ 作曲:中田ヤスタカ
まずは、Aメロの歌詞とコードを紹介します。
歌詞は語感が似た「night flight」と「nice flight」をリズミカルに繰り返し、リスナーを引き付けます。
「ちっちゃい歯車まわして」「くるくるかみ合うふたりは」
ミニマムな世界を想像させる描写から伝わるのは、芽生えたばかりでドキドキする恋の予感。
曲のタイトルを意味する、ちょっぴりスリリングな「夜間飛行」のイメージにぴったりです。
「321でtake off」
恋の行く先は分からないけれど、思い切りよく飛び立とう、という前向きな歌詞に導かれます。
クールなのにキャッチー
始まったばかりの恋をテーマにした「NIGHT FLIGHT」。
歌詞を読むと、いわゆる定番のアイドルソングとしても通用しそうです。
しかし、そのサウンドは単に、ノリが良くて聴きやすい、というだけではありません。
ステレオタイプの明るい歌謡曲と一線を画すのは、マイナーキー主体のコード進行です。
ともすればダークで物悲しい曲調に陥りがちですが、「NIGHT FLIGHT」はポップそのもの。
ポジティブな歌詞とスタイリッシュなメロディーで、クールでありながらキャッチーな曲に仕上がっています。
「NIGHT FLIGHT」が「YMOを彷彿とさせる」と言われる第一の仕掛けは、ここにあります。
「NIGHT FLIGHT」には確かに、YMOの作品に通じる部分があるのです。
それはまさに、クールでキャッチーなテクノポップを成立させたという点です。
テクノポップの金字塔「SOLID STATE SURVIVOR」
テクノとロックの融合
YMOの2ndアルバム「SOLID STATE SURVIVOR(ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー)」は、1979年9月リリース。
前年の1stアルバム「イエロー・マジック・オーケストラ」も、US版が制作されたほどの名盤として知られています。
しかし、YMOがさらにブレイクしたのは、この2ndアルバム。
その理由は、1stから大きく転換した方向性を打ち出したことにあります。
1stは全米デビューを視野に入れていたことから、フュージョンやオリエンタルの要素も強かった作品です。
2ndアルバムは、世界のロックシーンの最先端を行っていたイギリス発のニュー・ウェイヴに舵を切ります。
そこには、陰影を感じさせるマイナーコードを駆使しながら、メロディアスでダンサブルなナンバーがずらり!
YMOが「デジタル・パンク」と自称したように、疾走感とともにエッジの効いたアレンジが目白押しです。
後のJ-POPに至る日本のロック、歌謡曲にも、計りしれない影響を与えました。
79年10月から、YMOはロンドンを皮切りに世界6都市を回るワールドツアーも敢行します。
その模様は「PUBLIC PRESSURE」というライブアルバムとして作品化。こちらも当然のように、大ヒットしました。