大人気ユニット、Royal Scandal
2014年に活動を開始したクリエイターユニット、Royal Scandal。
男性の歌い手であるluzさん。楽曲制作を担当している奏音69さん。
そして楽曲に合わせるイラストや動画を制作しているRAHWIAさんで構成されています。
彼らの作品テーマは「Bar マスカレイドに集う男女の人間関係」。
歌詞はもちろんのこと、繊細なイラストで表現されたPVではその世界観を存分に味わうことができます。
その物語は多くの人々を魅了し続け、2018年には舞台化されたほど。
今回はその中から、舞台でも中心人物だったとある女性に関する楽曲を紹介します。
歌姫の物語
今回ご紹介する『チェルシー』とは、この物語に登場するキャラクターの1人です。
彼女は美しい歌声で人々を魅了し続ける、Barマスカレイドの歌姫。
彼らの物語第7章として公開されたこの作品では、歌姫になる前の彼女のことが綴られています。
ミドルテンポで優しさ・あたたかさを感じさせる反面、もどかしさや切なさも含んでいるような楽曲。
それは何故なのでしょう。その秘密、そしてチェルシーという少女のことを、一緒に紐解いていきましょう。
出会いの場所へ迷い込む主人公
何故か気になるあの人
雨上がりに、窓際の花も嬉し涙。心は晴れないのに……。
あの日くれた洋服もリボンも捨てたけど
この気持ちだけは消せないんだね。
すれ違ったあなたも、なぜか私と同じ瞳(め)をしてる。
その秘密知りたくて、深い森追いかけてた。
……どこか似てるの。あの日、迷酔った「ふしぎの国」と。
出典: チェルシー/作詞:奏音69 作曲:奏音69
主人公は可愛らしい女の子。さっきまで降り続いていた雨がやんで、ようやく窓を開けたようです。
雨をたくさん浴びた花々は元気を取り戻し、鮮やかに咲き誇っています。
しかしそんな中、主人公は心に何かがつっかえたままのようです。
いったい何が彼女を思い悩ませているのか。その原因は、4~5文目で綴られていました。
以前1度だけ会ったことのあるあの人。話したこともない、名前も知らない、そんなあの人。
それなのに何故か気になってしまう…これぞまさに運命なのかもしれません。
どこのだれかもわからないあの人のことを考えると、主人公の心は晴れるどころかむしろ雨が降りだすようです。
神の悪戯で生まれた出逢い
その花は恋のように咲き、夢のように果敢なく散る。
神様がいたずらに撒いた 薄紅の魔法のせいで。
きっと、この道はまだ悲劇(なみだ)へと繋がっている。
それでも、ふたりなら歩ける気がしたんだ。
"あなたの名前を教えてよ"
出典: チェルシー/作詞:奏音69 作曲:奏音69
そんな主人公の様子を見ていたのでしょうか。それとも単なる偶然?
神様は2人の前で魔法を使ったのでしょう。2人を引き合わせる、美しい花を咲かせました。
しかし実はこの出逢いこそ、2人にとって悲劇の始まりだったのです。
(このあたりの物語はRoyal Scandal作品の別章で綴られているようです。ぜひご覧ください。)
そんなことに気がつかない2人は、根拠のない自信のもとで惹かれ合っていきます。
これまで知らなかった互いの名前を聞き、距離を縮めようとしているようですね。
仲を深めていく2人
2人だけの特別な…
秘密ひとつ分け合えば距離は縮まるのよ。
身分(うまれ)や世代(じかん)さえ飛び越えて。
薄紅に照れるその木に「チェルシー」って名前つけて、
"この場所は、ないしょだよ" それがふたりの合図。
あなたが咲(わら)えば、なぜだろう…… 嬉しくなるのは。
出典: チェルシー/作詞:奏音69 作曲:奏音69
ここでタイトルである「チェルシー」という名前が登場しています。
先ほど神様が魔法をかけた木は、うっすらとピンクに色づいている。
つまりこれは、桜のことかもしれません。
まるで頬がうっすらと火照っているかのような愛らしい薄ピンク色。
満開の桜の花をこう表現しているのでしょう。
そんな美しい木に、2人は可愛らしい女性の名前を付けました。
ここから推察すると、この時点では主人公が「チェルシー」という名前ではなかったことがわかります。
本名は明かされていませんが、歌姫チェルシーになる前の彼女にはきっと別の名があったのでしょう。
美しいこの場所。2人が出逢った大切な場所。これから先も2人の大切な場所として守り続けたい。
そんな気持ちから、2人はこの桜の木の下を、2人だけの秘密の場所にしようと約束しました。