1stE.P.【トンネルを抜けたら】に収録

2017年に現在のメンバーで活動を開始した羊文学。

その1stE.P.として【トンネルを抜けたら】が発表されました。

シューゲイザーを感じさせる歪みの強いギターサウンド感傷的な歌詞で聴く人を魅了します。

デビュー当時は全員が現役大学生ということでも注目を集めました。

今回紹介する【雨】は、まさに羊文学の特徴が色濃く出ている楽曲です。

人の心の薄暗い悲しさを雨という現象に重ね合わせることで、繊細で深い歌詞になっています。

その歌詞を引き立てる、ギターボーカルの塩塚モエカさんの美しい歌声にも注目の一曲です。

歌詞の中で降り注ぐ雨には一体どんな意味があるのでしょう。

そして、楽曲を通して伝えたいメッセージとは何なのかを徹底的に紐解いていきます。

歌詞の意味を解釈

涙の雨

君の生活のことをおもう
雨のにおいがする
体温はずっと下がらないまま
部屋にこもってる

出典: 雨/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ

冒頭から登場するのは君という存在です。

君のことを考えると涙が出るということを表わした詞だと思います。

体が火照っているのは泣き続けていたからではないでしょうか。

涙を雨という表現に置き換えることで、この曲のテーマが伝わってきます。

窓から見える
光が揺れてる
雨、雨

出典: 雨/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ

雨のしずくが窓を伝って落ちる様子を描写していると思われます。

しずくの中に映った光がチラチラと反射しているのでしょう。

それをボーっと眺める主人公は「雨が降っている」という感想しか出てこないのです。

放心するほど悲しい出来事があったのではないでしょうか。

思い出の重み

君がくれたCDを聴く
何度も繰り返す
スピードはずっと変わらない
まだ部屋にこもってる

出典: 雨/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ

同じ音楽を何度も聴いて感傷的になっています。

何気なく貰った物には日常が詰まっている分、後に大きな思い出となるのです。

過去の思い出に浸っても時間は変わらず進み続けます。

まだ主人公は部屋から出られません。

夜だけ見える
光が揺れてる
雨、雨

出典: 雨/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ

部屋の明かりもつけずに夜を迎えたようです。

外からの光が、窓を伝い落ちるしずくに反射します。

悲しみとリンクするように雨は止みません。

気持ちの分岐


できれば
このまま
わたしに
きづかないで
それでは
またどこかで
あいましょう
さようなら

出典: 雨/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ

悲しみに沈んでいる姿を見られたくないということでしょうか。

そして、その見てほしくない相手というのは君のことだと思います。

最後の方では少し吹っ切れた様子です。

別れに対して前向きな気持ちが垣間見えます。