夏代孝明さんの「Gänger」に迫る!
弾むような軽快なリズムに合わせて歌われる深みのある歌詞が印象的な、夏代孝明さんの「Gänger」。
この曲のタイトルや歌詞を見て、ドイツ語が大好きな私は「なるほど!」と思いました。
きっと「Gänger」や「フースゲンガー」という言葉の意味を知れば、誰もが同じようにうなるはず。
今回は「Gänger」の歌詞やタイトルの意味を独自の解釈を交えて紐解いていきます。
「Gänger」や「フースゲンガー」というドイツ語の解説もありますのでお楽しみに!
「Gänger」ってどういう意味?
まずはタイトルに使われている「Gänger」という言葉の意味を解説します。
「Gänger」はドイツ語で「人」
「Gänger」はドイツ語で「人」や「歩行者」という意味合いを持っています。
読み方は「ゲンガー」。もともとは「Gang」という「歩き方」を意味する単語から派生した言葉です。
もう少し詳しく説明すると「目的とする場所に向かって歩みを進める人」という意味になるでしょう。
現代のドイツ語では「Gänger」単体の使用頻度はあまり高くありません。
しかし「Gänger」が含まれる言葉は、現代においてもたくさん使われています。
ドイツ語は複数の言葉を組み合わせて新しい単語をつくることができる面白い言語。
「Gänger」を他の単語と組み合わせることで「~する人」という言葉をつくることができるのです。
たとえば「映画」を意味する「Kino」と組み合わせた「Kinogänger」。
読み方は「キノゲンガー」。「映画を見に行く人」という意味になります。
夏代さんは、今回のアルバムに収録されている楽曲はすべて「Gänger」を付けることができると語っています。
「~する人」という意味に注目しながらアルバムを聴いてみるとより楽しめそうです。
アルバム収録曲はこちらからチェックすることができるので、ぜひ確認してみてください!
自分のために生きたっていいじゃない
「人」、特に「歩行者」を意味する「Gänger」。
歌詞の中にはどのような人間が描かれているのでしょうか。
まずは1番の歌詞を見ていきましょう。
自分自身を信じて進め
誰もいない道を歩いた 謂れのない噂を知った
自分の目で確かめなくちゃ 信じない
出典: Gänger/作詞:夏代孝明 作曲:夏代孝明
自分が挑戦しようとしていることに対して、周りから根拠のない噂話を聞いた経験はありませんか?
そして噂が気になって足を止めてしまうこともあると思います。
まだ誰も歩いたことのない、レールの敷かれていない道。そこを歩いていくのは勇気のいることです。
「Gänger」の主人公は、周りから何を言われようと、そんな未開拓の道を歩いていくと決意します。
2行目の歌詞には主人公の「自分を信じる気持ち」が出ていて、とてもかっこいいと思いました。
美しくなくたっていい
金銀財宝興味ないさ ビリーザキッドだってそうさ
誰かの為に生きるのは美しく見えるから
出典: Gänger/作詞:夏代孝明 作曲:夏代孝明
1行目の歌詞にはビリー・ザ・キッドという人物が登場します。
19世紀にアメリカで活躍した人物で、射撃の名手として有名です。
ビリー・ザ・キッドは盗みや殺人を犯し、法律で保護されない「アウトロー」の宣告を受けました。
しかしビリー・ザ・キッドは単に金銀財宝のために銃を手にとったわけではありません。
自分の信念をつらぬくために銃をとり、戦ったのです。
そんなビリー・ザ・キッドの生き方は美しいものではないかもしれません。
しかし「Gänger」では「自分のために生きるのなら美しくなくてもいいじゃないか」と歌っています。
ビリー・ザ・キッドのように信念をつらぬいて生きていこうとする主人公。
そんな主人公の歩いていく道はどこに続いているのでしょうか。