脳異常 野良知恵の大笑い
煩悩に猛悪ライフ
脳異常 野良知恵の大笑い
煩悩に猛悪ライフ
北 北 北 捨てりゃポンじゃ
エゲツ 金亡者
北 北 北 捨てりゃポンじゃ
エゲツ 金亡者
出典: アカギ/作詞:マキシマムザ亮君 作曲:マキシマムザ亮君
この物語で行われるのは常軌を逸脱した高レートの麻雀。
舞台は昭和三十三年、高度経済成長期を迎えながらも混沌とした日本です。
歌詞に描かれるように誰もが金や欲に目がくらみ目先の勝ち負けを欲するものでしょう。
その圧力に耐えきれず正常な判断すらできない方が普通かもしれません。
さらに待ち受けるのは極悪の「敵」。
彼らの目的は金だけではありません。
命をも賭ける本物の死闘がここでは繰り広げられていきます。
いくら天賦の才能を持っていたとしてもそれだけでは生き抜けない世界なのです。
飢え「無我夢中」の 無礼講 ぶりかえす殺し合い
フリー雀荘 ノンフィクション ドリームマッチ
アマ対プロ アンビリーバボー理屈超えた放映
スクリーン眼中 ニューフェイス防衛 奮う試合
出典: アカギ/作詞:マキシマムザ亮君 作曲:マキシマムザ亮君
たった一巡で、たった一瞬の隙だけで状況が激変する麻雀の世界。
ひとつの動きで天国にも地獄にも行き来する白熱した闘いが歌詞に描かれます。
そんな中でも冷静に牌の声に耳を傾ける赤木しげる。
ノイズや気配を感じ取り、牌だけでなく対戦相手の心理すら見透かす人間離れした洞察力と直感。
どんな状況をも利用し自分のペースに巻き込んでいきます。
これもすべて彼の計算の内なのです。
ミスや確率すらも操作する確率を超えた直感。
赤木しげるにとって元からギャンブルとは不合理なものでもあります。
元からそこに道理などは存在していないのです。
単なる勝ち負けや損得だけでもない、ギャンブルとは計れないもの。
そしてただ闘いの中で自分の信念を曲げずに突き進む。
その行為は天をも味方につけ、圧倒的不利な流れの中で偶然すらも呼び込む神がかり的な展開を巻き起こします。
対戦相手のみならずその場にいるすべての人間を驚愕の渦に落とし込む天運が赤木しげるにはあるのでしょう。
「アカギ」の精神性
生 追わん 捨て身安生
血咥えや 背には水
出典: アカギ/作詞:マキシマムザ亮君 作曲:マキシマムザ亮君
たった二行のこの歌詞から鮮やかなほど浮かび上がってくるのは赤木しげるの持つ常人とはかけ離れた精神性です。
ギャンブルに対する一貫した精神や情熱、そしてすべてを見通す澄み切った目。
死をも恐れず、勝負には手段も厭わない。
例えそれが自分の身を削ることであったとしても対価としてリスクを背負います。
対戦相手を欺くだけでなく、その対象が絶対的ともいえる確率だったとしても。
誰もが心のどこかで抱く「もし」や、少しの期待や可能性などは不要なのです。
赤木しげるは常に誰もが信じる常識や前提を覆していきます。
それがどんなに理にかなわないことや、確率的に常識の範疇にないことであっても。
そして生死ですらも。
定められた運命だとしても関係ありません。
彼が信じるのは自分自身。
自分の判断を迷わず信じぬく才能でもあるといえます。
結果として「死」に辿り着いたとしてもそれは彼にとっては本望なのです。
狂気の沙汰ほどおもしろい
狂気をさらけ出して
うつむき今夜 地を喰う
仰向け 天を喰う
さあ さらけだせ狂気の芽
世の中で研ぐ爪
出典: アカギ/作詞:マキシマムザ亮君 作曲:マキシマムザ亮君
地獄に自ら身を投じながらも天に選ばれた男、赤木しげる。
無意味にすら感じる「死」をも引き連れて、自分の本能を迷いなく信じていくために必要なもの。
それは狂気です。
通常の精神を大きく凌駕する狂気。
内なる狂気を解き放たなければ真実は見えてこない。
生ぬるい世の中での出来事は赤木しげるにとってはただの戯言でしかありません。
彼が本当に追い求めているもの。
それはもっとヒリついた、身を焦がすように燃えるなにか。
その先へと追い求めるもの
燃え上がって上がって アガって逝け
オレは何故 何故行く?
それはオレの影
鳴り止まないオレの風
出典: アカギ/作詞:マキシマムザ亮君 作曲:マキシマムザ亮君
勝負に勝つこと。
赤木しげるの目的はそれだけではもちろんないのでしょう。
彼が常に抱えているのはどこか満たされない想い。
心に空いた穴を埋めるのにはもっと狂った世界に身を投じなければならないのです。
生死を賭けた真剣勝負の中に己の生き様を見出すかのように。
そこでしか「生」を感じられないかのように。
追い続けているのは自分自身の「影」なのでしょうか。
間違いなく彼を突き動かす狂気という原動力。
まだ足りない、もっと燃えて、もっと上がっていかなくてはならない。
そんな気持ちが歌詞から強く感じられます。
赤木しげるが死線の先に見るものとはいったいなんなのか。
彼自身もまだ見ぬ世界を追い求めて地獄のような闘いの炎に身を委ねているのかもしれません。