いつも一緒にいたい。
主人公はいつからかそんなふうに思うようになりました。
しかし生きている限り避けては通れない別れが主人公の心に暗い影を落とします。
いくら近くにいても大切に思えば思うほど失う怖さも伴ってしまうもの。
もし“夢”に希望を見出して“光”が見えたとき。
一人で立ち向かう勇気を主人公はいまはまだ持っていません。
でも隣に“君”がいてくれたらどうでしょうか。
“君”の存在が主人公を強くしてくれるのです。
人が精神的に強く成長するのには自分だけの力では限界があるものです。
愛する誰かのため。
自分を認めて愛してくれる誰かのため。
“君”を守るためかもしれません。
そんな自分以外の存在が自分自身の力になっていくのでしょう。
“君”のために強くなりたい
君みたいに優しく なりたいだけ
祈る声は激しく あと少しだけ
心の底から触れ合うまで
君と繋がっていたいだけ
出典: ごめんね/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
繰り返される歌詞からは主人公の強い意志が感じられます。
もう願望だけを語ってはいられない。
シンプルな想いこそ形にするのは難しいかもしれません。
しかし主人公はもう想いを固めたようです。
“君”のようになるため、“君”との距離を近づけるためにはもっと強くならなくてはいけない。
“君”と一緒にいられるのなら強い自分になることができるかもしれません。
ストレートな主人公の想いは決意に形を変えていったのです。
本当に伝えたかった言葉は
怯えてばかりで 恥ずかしくなるよ
そこから見ていてね 大丈夫 ありがとう
出典: ごめんね/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
弱くて一人ではなにもできなかった主人公は“君”との出会いで変わっていきました。
“君”に恥じない自分になろうと決心した様子が歌詞にも描かれているようです。
「ごめんね」という言葉の裏には別の意味が隠れているのではないでしょうか。
これはただ謝罪の言葉ではなく、そこには伝えたい本心が垣間見えるようです。
歌詞に綴られる最後の言葉。
これが本当に主人公が“君”に伝えたい言葉なのかもしれません。
きっと口にしなくても自分の気持ちは伝わっているはず。
そう思うことも少なくないかもしれません。
ときには言葉にしなくてもわかってほしい、なんて場面もあるでしょう。
しかしいくら心から繋がっているとお互いに思う関係だったとしても口に出さなければわからないこともあります。
口に出して、言葉として伝えなければ本当の想いも伝わらないのです。
言葉には私たちの想像以上に力があるのかもしれません。
人が発する言葉にはその人の数だけ違った意味合いも含まれています。
同じ言葉を声に出しても言い方や相手、その状況によって当然意味も変わってくるでしょう。
もちろん言葉によって誤解が招かれることもあります。
しかし本当の気持ちを口にするかしないかで訪れる未来も違うものになるかもしれません。
楽曲のタイトル、そして歌詞の最後の言葉。
あなたにはこのどちらかの言葉を言いたい相手がいるでしょうか。
もしそんな相手がいるのなら、恥ずかしがらずに素直な言葉で伝えることも大切なのでしょう。
多くを雄弁に語るより、このシンプルな一言だけが必要な場合もあるかもしれません。
たった一言を言うだけでも勇気がいることもあります。
相手のことを考えるからこそ言い出せないときもあるでしょう。
しかしその一言できっとなにかが変わっていくはずです。
言葉を伝えた自分も、言葉を受け取った相手も。
「Undertale」のイメージソング
【ごめんね】はRPGゲーム「Undertale」をイメージして作られた楽曲です。
地上から隔絶された地底世界 (the Underground) が舞台の物語 (tale) 。プレイヤーは、モンスターたちの住む地底世界に落ちてしまった「ニンゲン」の子供を操作し、地上に帰るために様々なモンスターと出会い、ふれあいながら冒険を繰り広げていく。
本作は「誰も死ななくていいやさしいRPG」をキャッチコピーにしており、必ずしもバトルでモンスターを倒す必要がない点がシステム上の大きな特徴である。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/Undertale
【ごめんね】の歌詞をみて特定のキャラクターやゲームのシーンが浮かんだアンテファンの方もいることでしょう。
プレイヤーによって違う未来が待ち受けている「Undertale」の世界。
モンスターたちとの会話の中で選択する言葉によってそれぞれのエンディングに導かれていきます。
ゲームの主人公としてどんな選択をしていくのか。
どんな言葉を交わしていくのか。
辿る道すじも解釈も、その人なりの答えが待っているのかもしれません。
関連記事のご紹介
最後に米津玄師のOTOKAKE内にある関連記事をご案内します。
今回は【ごめんね】のようにある作品から影響を受けた楽曲をいくつか厳選してみました。
オマージュ作品の宝庫、アルバム「BOOTLEG」から3曲のご紹介です。
【爱丽丝】
【米津玄師/爱丽丝】歌詞の意味を徹底解釈!ちりばめられた”不思議の国のアリス”のモチーフに注目 - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
稀代の歌い手米津玄師の『爱丽丝(アリス)』。タイトルからもわかるようにこの曲は『不思議の国のアリス』のモチーフが、楽曲中にちりばめれられています。今回は『爱丽丝』の歌詞と、そのモチーフの源泉を汲み取って解説していきます。
【爱丽丝】の歌詞に散りばめられているのは「不思議の国のアリス」に通じる数々のモチーフ。
現代のアリスはこの世界をどう捉えるのでしょうか。
世界的に有名なおとぎ話の世界観を彩る言葉遊びにも注目です。