B'zの7thシングル「愛しい人よGood Night...」
あの刑事ドラマのEDテーマに起用
「愛しい人よGood Night...」は1990年にリリースされた、B'zの7枚目のシングルです。
1990年は、なんとB'zは「LADY-GO-ROUND」「BE THERE」「太陽のKomachi Angel」「Easy Come, Easy Go!」、そして「愛しい人よGood Night...」の5枚ものシングルを発表。
ちなみに2018年現在も更新中の、シングル連続1位獲得記録は、この年にリリースされた「太陽のKomachi Angel」から始まっています。
「愛しい人よGood Night...」は意外なことに、当初シングルカットの予定はなかったということ。
関係者がこの曲を気に入り、ドラマのエンディングテーマに決まったためリリースした、という経緯があるそうです。
そのドラマは、舘ひろしや渡哲也が出演し、石原プロが手掛けた刑事ドラマ「代表取締刑事」でした。
前作「Easy Come, Easy Go!」から1か月も経たずにリリースされたのには、そんな裏事情があったんですね。
この「愛しい人よGood Night...」は、B'z初となるシングル月間チャート1位を記録した作品でもあります。
B'z初、バラードのシングル表題曲
そしてこの曲は、B'zのシングルの表題曲としては初めてのバラード曲となりました。
ノリノリのちょっと激しめの曲や、キャッチーなポップソングのイメージが強かった当時のB'zのイメージを変える結果となり、新たなファン層を獲得できたのではないでしょうか。
初期にはライヴでも披露されていましたが、90年代の後半からあまり披露されなくなります。
リリースから13年後の2003年、B'zのデビュー15周年記念の一環として初期のシングル10作品をデジタルリマスタリングし、再発盤として12㎝CDでリリース。
この10作品の中に「愛しい人よGood Night...」も入っていました。この時のチャート順位は12位。
25年以上前に発表された古い曲ですが、それでもこうして再発盤も出ているので、新旧のファンに定番の人気曲なのかと思いきや、どうもそうではない様子。
もちろんリリース当時からファンだった方には人気なのですが、若い年齢層のファンにはあまり知られていないそうなのです。
というのも、2013年のライヴでかなり久しぶりに披露したところ、稲葉浩志曰く”ファンの反応がいまいち”だったらしく、”今の子はこの曲を知らなくて、新曲だと思われたみたい”と語っています。
かなりの長い間演奏していなかったようなので、喜んでもらえると思っていたら肩透かしを食らったのでしょうか……。
がっくりとした様子の稲葉浩志の様子を想像するとちょっと気の毒ですが、今10代のファンはリリース当時まだ生まれていなかったことを思うと、無理もないのかもしれませんね。
収録アルバムは『RISKY』
「愛しい人よGood Night...」は、同じ1990年にリリースされたB'zの4作目オリジナルアルバム『RISKY]』に収録されています。
デジタルサウンド、ダンスビートがまだ存在感を放ってはいるものの、ハードロックのニュアンスを感じせる作品となっています。
初期サウンドから現在の正統派ハードロックサウンドへの転換の、最初期に当たる作品といってもいいでしょう。
実際、この次にリリースされたオリジナルアルバム『IN THE LIFE』では、この『RISKY』よりも生音の占める割合がかなり多くなっています。
収録曲は以下の10曲。
1. RISKY
2. GIMME YOUR LOVE-不屈のLOVE DRIVER-
3. HOT FASHION-流行過多-
4. EASY COME,EASY GO! -RISKY Style-
5. 愛しい人よGood Night...
6. HOLY NIGHTにくちづけを
7. VAMPIRE WOMAN
8. 確かなものは闇の中
9. FRIDAY MIDNIGHT BLUE
10. It’s Raining...
出典: https://www.amazon.co.jp/RISKY-B%E2%80%99z/dp/B00005F59X
聴きどころをチェック!
このアルバムには、シングル曲は「Easy Come, Easy Go!」と「愛しい人よGood Night...」の2曲が収録。
稲葉浩志が自分自身がテーマだと語る「HOT FASHION -流行過多-」や、B'zには珍しい物語性が高い歌詞が特徴の「VAMPIRE WOMAN」など、個性的な曲が収録されています。
最後の収録曲「It's Raining...」は、間奏中に電話で稲葉浩志が喋る声が入っており、歌声とはまた違う稲葉浩志の声を堪能することができます。
「愛しい人よGood Night...」の歌詞の意味とは
ではここからは、歌詞を見ていきましょう。
灯をともそう二人が歩いてきた日々に
強い女と決めつけてた
きみの涙がそう言ってる
まっすぐな思いを卑怯者が踏みにじり
裏切りこわしかけた愛は今強くなってる
どこにいてもきっといっしょだから
さがそういつか出逢った頃の微笑み
愛しあったその理由を
出典: 愛しい人よGood Night.../作詞:稲葉浩志 作曲:松本孝弘
大切な彼女のことを、本当は何もわかってなかった。
勝手に”きみ”は強いと決めつけてきたけれど、そんなことはなかったんだと、彼女の涙を見て初めて気付きます。
もう手遅れなのでしょうか。
これまで二人が一緒に過ごしてきた日々を、改めて振り返ります。
そこに彼女が見せていた優しさや自分への愛。
いつでも彼女は、まっすぐな想いを自分にぶつけてきていました。
それに甘えて、彼女を裏切ったりしたこともあったのでしょう。
それでも彼女は平気だと、そう思っていたのでしょうか。
卑怯者、それはきっと自分のことなのでしょう。
彼女が泣いたことで、自分の裏切りや甘えが彼女を傷つけていたことに、初めて思い至ったのでしょう。
離れていても、心は一緒だと、語りかけます。
今は、こんな風に見失ってしまったかもしれないお互いの愛。
でも確かに愛し合っていた。
出会った頃の気持ちを、取り戻そうと。