出会いは早朝。
もやがかかり、遠くまでは見通せない状況なのですね。
道を歩く紅緒が、忍と出会います。
もし先のことが見通せないとしたら、分かれ道のどちらを進むとしても、リスクは同じはず。
そこでわざわざ「あやうい」と歌うあたり、紅緒は何かを直感したのです。
それはどんなことなのでしょうか?
日々を共に過ごす2人
木洩れ陽が 踊る日は 笑いころげたりして
曇った風が走る日は 心の奥が キュンと音をたてた
出典: はいからさんが通る/作詞:小倉めぐみ 作曲:国安わたる
晴れた日も、曇りの日も、紅緒は忍と一緒にいるのでしょう。
※一緒にいる理由はすぐ後で触れます。
そこで起こるすべてのことが、楽しく、また切なくなっているのです。
愛情だけでは保てなかった関係
くちびるを重ねた数では
愛情を繋ぎとめられない 知ってるけど…
出典: はいからさんが通る/作詞:小倉めぐみ 作曲:国安わたる
まず、この部分の注意点を書いておきましょう。
歌詞には「愛情」と書いてありますが歌う時は「きもち」と読みますのでご注意ください。
さて、この部分は「はいからさんが通る」の原作を知らないとわかりにくいかもしれません。
「『はいからさんが通る』は紅緒と忍の恋物語」と説明しましたが、さらに特殊な事情があります。
紅緒と忍は許嫁の関係、つまり「最初から結婚が約束されている関係」なのです。
ちなみにこれは親が決めたもの。
そして、紅緒は正式な結婚をする前に、伊集院家にて花嫁修業をします。
なので、一緒に暮らしていることになるのですが、初めのうちは2人ともぎこちないのです。
しかし、この歌詞に描かれている段階だとキスも普通にしているのですね。
であるならば、「繋ぎとめられない」というのはどういうことでしょうか?
実は、これは運命の別れがあることを示唆しています。
主人公の人柄が見える
凛々しく恋してゆきたいんです私
傷つくことに弱虫なんて乙女が すたるもの
ややこしいかけひきは苦手です私
晴れた 空が 好きです
出典: はいからさんが通る/作詞:小倉めぐみ 作曲:国安わたる
「はいからさんが通る」の中で紅緒は「じゃじゃ馬」として描かれています。
ストレートで、奥ゆかしさに欠ける女性。おまけに酒乱です。
これは逆に、思わせぶりな態度をとらないという意味でもあります。
そして「すたる」という言葉が、紅緒の心の強さを端的に示しているのです。
紅緒の素直な心が、「晴れた空」という表現に重なります。
2人の愛情がさらに深まる2番の歌詞
1番では、2人の出会いから少しずつ愛が深まっていく過程が描かれていました。
2番では、心の絆がさらに強くなっていきます。
愛を育んできた日々
二人で通り過ぎた いくつもの わかれ道
白い花が香るときも 実る季節も いつもいっしょだった
出典: はいからさんが通る/作詞:小倉めぐみ 作曲:国安わたる
紅緒と忍がくぐり抜けてきた運命。
様々な楽しいこと、あるいは悔しいことも、紅緒と忍の2人で乗り越えてきました。
「花」や「実」が、2人の間に流れた歳月を物語っています。