ノイズが意味するもの。それはその人が持つ秘密の部分でしょう。

歌詞でいうと、まさに冒頭のこのフレーズが当てはまります。

僕の知らないその顔

出典: モノローグ/作詞:KIRO AKIYAMA 作曲:KIRO AKIYAMA

歌詞に沿って、「」を強調する表現をしているのでしょう。

ノイズがかかっていては、その相手の表情を窺い知ることはできません。

ここからわかる少年の心情

顔面にかかっているノイズで表情が全く見えない人々。

これが意味するのは、主人公が心の奥に抱えている疑いの気持ちです。

目は口程に物を言う」なんて言葉がありますね。

目だけに限らず、人の表情は時に言葉よりも多くのことを相手に伝えます。

しかしその表情がノイズで隠されている以上、人々の感情を読み取ることはできません。

相手がどのような人なのかわからない。相手が何を考えているのかわからない。

そんな状況で感じることはただ1つ。信用できない…つまり疑いの気持ちです。

後半にかけてノイズが増える理由

MVを見ていると、前半より後半にノイズ表現が多いことに気が付くでしょう。

これはきっと、少年の精神面に大きな変化が現れたことを意味していると考えられます。

ここについてはラストの展開にも関わりますので、後程改めて解説しましょう。

椅子の意味

秋山黄色【モノローグ】MVを徹底解説!駆け出した先に何が待つ?椅子とノイズに投影された真意に迫るの画像

この楽曲MVにおいて、ノイズと同じくらい重要な意味を持つのが椅子でしょう。

映像の中では、秋山さんが歌うシーンで山のように積み上げられていますね。

また、街中を歩く少年が茶色の椅子を1脚持ち歩いている様子も映し出されています。

椅子が守ってくれる

MVの前半、少年は全力で街中を走り抜けています。

しかしその直後、2秒ほどの短いシーンですが少年は街中で椅子に座り込んでしまいました。

街中に溢れるノイズだらけの人々は、そんな少年を気にも留めず歩き去っていますね。

他人のことに構っている余裕がない人々。そんな人々を信用できない少年

少年はそんな疑いだらけの場所から逃げ出したかったのかもしれません。

しかしいくら走っても抜け出せず、疲れ果てて座り込んでしまったのではないでしょうか。

少年が椅子を持ち歩いている理由。

それは、こんな風に藻掻くことで疲れてしまった自分が頼れる場所だからでしょう。

一般的な表現にすると「心の拠り所」ともいえる、そんなものの象徴だと考えられます。

積み上げた椅子

MVの秋山さん登場シーンを見てみると、ほとんどのシーンで椅子とともに映っていることがわかります。

しかもその数は1脚だけでなく、それだけで山が作れてしまうほど大量。

先程椅子は心の拠り所を意味するのではないか、と解説しました。

そんな抽象的なものがここで可視化されている理由。

それは、それほどまでに椅子の存在が重要であることを示唆するためではないでしょうか。

きっと多くの人が主人公のように、日々様々な感情を抱えながら生きています。

もちろんその感情はポジティブなものばかりではないでしょう。

ネガティブな感情に支配されることだってあるはずです。

そんな時に支え続けてくれる椅子は、MVからもわかる通りお世辞にも綺麗とはいえません。

それだけ傷つきながらも、みな必死に生きているんだということでしょう。

それはきっと、顔にノイズがかかったあのたくさんの人々だって同じです。

秋山さんの周りに散らばるたくさんの椅子を、「その他大勢」の心の拠り所と捉える。

「たくさん」という量の部分しか共通点がありませんが、こんな捉え方もできそうですね。

楽曲後半にノイズが増える理由

背景にかかったノイズの意味

さて、まだ解決できていなかった謎がもう1つ。

楽曲が進むにつれてノイズが増えていく理由がまだ解明できていませんでしたね。

先程は少年の精神面に変化が現れたのだと説明しました

この疑問について、さらに詳しく解説していきましょう。

楽曲中盤で登場し始めたノイズは最初、人の顔だけにかけられていましたね。

しかし楽曲後半で徐々に歪み始めた背景の街並みは、次第に大きくねじ曲がっていきます。

もちろん顔にかかったノイズと同義で捉えるならば、世界全体を信用できない気持ちとも捉えられるでしょう。

しかし歌詞とあわせて考えてみると、この仮説が成り立たないことがわかるのです。

悲しみは2つに 喜びは1つに
それすら出来ずにもがいていたね
分かり合える事なんてほんの少しだけど
それでも日々が色褪せないのは

悲しみの全てを隠していたなら
最初から僕らは惹かれ合っていないと分かるから
二人でつけ合った傷の数が
あなたの日々に変わりますように
変わりますように

出典: モノローグ/作詞:KIRO AKIYAMA 作曲:KIRO AKIYAMA