阿部真央「貴方が好きな私」とは?
阿部真央の「貴方が好きな私」は2013年6月26日に発売された阿部真央の10枚目のシングルです。
そして、同年8月28日リリースの収録アルバムのタイトルが『貴方を好きな私』であることからこのアルバムにとっても大切な1曲であるのがわかりますね。
「恋」をテーマにしたコンセプトシングル!歌詞に阿部真央が込めた想いとは?!
阿部真央の「貴方が好きな私」の歌詞を解釈!
阿部真央さんが楽曲を作る際に1番のエネルギーになるのが哀しみの感情だとか。
その理由としてあげたのが、いつも自分が怒る時には淋しくて相手を怒ることが多いからだそうです。
怒りにも変わる淋しさという感情の強さ。
淋しさという感情は時に自分の存在を揺るがすほどに心を蝕むものでありながら、普段はその力をわかっているようでわかっていないですよね。
そんな、誰もが知っているけど言葉にしてこなかったような感情を歌にしてしまうのが阿部真央さんの歌詞のすごさだと思います。
この楽曲の主人公も、本当の自分を恋人に分かってもらえない淋しさと苦しみ、それでもそばに居たいという激しい葛藤を抱えた女性です。
その複雑な心情を、恋人に好かれるために演じる自分を「私」、本当の自分を「わたし」と漢字とひらがなで書き、人格を描き分けているところにも注目。
では、早速「貴方が好きな私」の歌詞を見ていきましょう。
わたしじゃない「私」を演じる理由
わたしが貴方だけに染まるのを 貴方が嫌うから
前のめりで坂を転げないように 少し距離を置いた
本当はその胸に飛び込んで泣きじゃくってみたいけど
貴方の好きな私は そういう可愛い子じゃないから
自由なフリをしながら 孤独にのまれる夜に
隠れて涙して それでも貴方に愛されたくて
出典: 貴方が好きな私/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央
本当の「わたし」は恋人の色に染まってしまうくらい好きになったらのめり込むタイプの女性。
しかし、恋人である「貴方」は自分だけに一途に、必死になるような可愛らしい女性は好きではないのでした。
そんな恋人に好きでいてもらうために「わたし」は今日も「貴方」の好きな「私」を演じるのです。
「貴方」のことが好きでたまらないからこそ、「貴方」なんかいなくても平気とでも言うように自由な女性を演じる「わたし」。
いつだって大好きな恋人に会いに行きたいのに、その気持ちも押し殺して距離を置いているため「貴方」に会えない夜は孤独で仕方がないのでした。
どんなに寂しくても、自分から会いたいと言い出すようなことをしたら嫌われてしまうと思って耐えているのでしょうね。
本当の自分を隠して辛い思いしてまで付き合わなくていいと思う方も多いかもしれませんが、それでも「貴方」に愛されたいというのが「わたし」の全て。
恋に盲目な女性の哀しい心情が描かれた歌詞ですね。
本当の自分を失っても、嘘の自分しか愛されていなくても
「貴方が好きな私」が わたしを殺してく
終わりのない迷路を貴方の左手に引かれ行く
瞬きをするその度に今の私を焼き付けて
「貴方が好きな私」を今日も 上手に出来たわたしを愛して
出典: 貴方が好きな私/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央
「貴方」が好きでいてくれる女性を演じるということは本当の自分の心を殺すということ。
本当の自分ではない自分を演じ続けることで、本当の自分が失われて行くような感覚になっているようですね。
また、違う人格を演じることによって「貴方」が愛しているのは本当の「わたし」ではないと思ってしまい、一緒にいても愛されているという実感もないのです。
こんな状態、精神的に病んでしまいそうですよね。
それでも、「私」を上手く演じている「わたし」を「貴方」は愛してくれていると信じて、今日も演じ続けるのでした。
葛藤も嫉妬も「貴方」に捨てられないためにひた隠す
もし貴方の言葉ひとつひとつをいつまでも忘れられずに
何も手につかなくなる程に思いつめたり
気に留めない素振りの裏側の 妬ける程の狂おしさが
本当のわたしだと知ったなら 貴方は私を捨てるかな?
甘え方も知らずに 近づく事さえ躊躇させる
貴方にしがみついて わたしはどこへ行きたいんだろう?
出典: 貴方が好きな私/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央