じれったいほどゆっくりと縮まっていく主人公と君の距離。
きっと時間をかけた分だけ、互いの想いも深まっていくのでしょう。
太陽が沈んだ後も、2人の熱は冷めることがなさそうです。
君を見つめたいけど恥ずかしい
長く伸びるその影に静かにキスして
やがて次第に訪れるだろう満天の星空を待つ
夕凪は時として胸を打つ鼓動や微かな呼吸でさえ
この耳に届かせる
出典: 夏・コイ/作詞:山下穂尊 作曲:山下穂尊
自分の影の横に伸びる君の影。
本当は直接君を見つめたいけれど、それは恥ずかしい。
だから主人公はこうして君の影に視線を送っているのでしょう。
並んで伸びる2つの影を見て、主人公は君との距離の近さを改めて感じているのかもしれません。
そうしてまた恥ずかしくなったり、嬉しくなったり...。
頭の中は君の妄想でいっぱいなのに、顔は必死に平然を装っている。
そんな主人公の様子が「長く~」の歌詞で歌われています。
空に星が出る少し前の静寂に満ちた時間。
主人公と君は海の近くに座っているのでしょう。
辺りが暗くなっていくのに従って、波の音も次第に聞こえなくなっていく。
静かすぎて、心臓の音が君に聞こえてしまうかもしれない。
主人公の緊張が、実際に自分が感じているかのように伝わってきます。
ぎこちない2人が迎える夏
簡単な言葉にだって躊躇いながらの声
確信に迫る言葉とは触れないし
もどかしさに押し黙って僕は何を思う
過ぎたあの夏 これからの夏
二人を照らす月明かり
出典: 夏・コイ/作詞:山下穂尊 作曲:山下穂尊
君に対する気持ちを、もっと素直に伝えられたらいいのに。
主人公は「好き」の一言さえ、上手く君に伝えられずにいるようです。
会話を盛り上げることもできず、主人公はとうとう沈黙してしまいます。
聴いているこちらからすれば微笑ましいその様子も、主人公からすれば大きな問題。
こんな情けない自分では、いつか君に愛想をつかされてしまうんじゃないか?
そう不安に思うこともあるでしょう。
思い通りにいかないことばかりで、主人公自身まだ自分がどうしたいのか分かっていないのかもしれません。
君と出会う前の夏と、君と出会ってからの夏は、同じ季節でも全くの別物です。
そしてそれは、主人公が気づいていないだけで、きっと君も同じなはず。
初めての感情に戸惑う2人を、今度は月の光が包み込みます。
君との未来を信じている
いったい僕らの未来はどんくらいのスパンでもって
絡んでんだ?なんて 想像してみる
この夏に生まれる恋が永遠の時間となって
二人の内に色を添えれたらいい
出典: 夏・コイ/作詞:山下穂尊 作曲:山下穂尊
君と今感じているぎこちなさが消えるくらいの関係になるためには、あとどのくらいの時間が必要なんだろう。
主人公は君とともに生きる未来を純粋に信じている様子です。
そのくらい主人公は、君のことが好きで堪らないのでしょう。
君と初めて過ごしたこの夏が永遠になればいい。
そんなことを願うほど、主人公は君と過ごす時間を大切に思っています。
じっくり育んだ恋の結末
恋というのは月日の流れとともに形を変えていくものです。
主人公と君の恋も、ずっと微笑ましいままではいられませんでした。
思い出に変わる
少し冷たい水をすくいました
泪に似た味に気付く僕は 蘇る記憶にだって何の抵抗も抱かない
季節は廻る 季節は廻る 同じ砂の上
出典: 夏・コイ/作詞:山下穂尊 作曲:山下穂尊
Cメロの歌詞は、それまでと雰囲気が異なります。
もどかしくも確かな熱を含んだ恋をしてきた主人公ですが、それはもう思い出に変わってしまったようです。
不意に主人公の頬を濡らした涙。
その涙に君と過ごした夏の日々が蘇りますが、主人公が悲しみに暮れることはありません。
そのくらいの時間がすでに流れたということなのでしょう。
いつか君と星を見た砂の上に、今は1人で立つ主人公。
季節はまた夏が始まろうとしています。