月で生まれた人は 地球には戻れない
母の故郷の惑星に降る 雪に頰うずめるのは難しい
見た事無い海に 憧れてため息
巨大なモニター 同じ顔した 青い魚達が跳ねる
遥か遠い昔から 意味のある偶然を伝えているんだ
体の中から 響くのは 懐かしい子守歌
公園の砂場から 大気圏突入用のロケットに乗って
誰かが残したシャベルを コックピットにして 還ろう 還ろう

出典: COSMIC BOX/作詞:YUKI 作曲:mugen

突然ですが、みなさんは「生まれ変わり」という概念を信じていますか?

それを信じている人は現世の前に、今は忘れている違う生命体としての人生があったと考えるのです。

この楽曲はそんな「前世の記憶」がテーマになっているのでしょう。

何故なら1行目で月で生まれた人が地球を懐かしんでいる描写がなされているからです。

その人は私たちと違い、前世の記憶があります。

だから月にはない雪や海に懐かしさを感じ、憧れているのでしょう。

さて、前世の記憶を描くことによってYUKIがファンに一番伝えたかったのは、6行目にある言葉。

私たちの現実で起こることはすべて、偶然のように思えて本当は意味があるものだということです。

何故生まれてきたんだろう。どうしてこの人と出会ったのだろう。

考えても考えても、そこには答えが出ないはず。

しかし、現実で起きることは全て何かしらの運命なのかもしれません。

YUKI自身は子供を産んだり、曲を作る中でそう感じたようです。

全てを記憶していたい

もしも恋に落ちたら 能力を失う
自制心 爆発してしまう ロボットみたいになれるなら
あなたと話した全て 忘れないでいるのに.......!!
曖昧な記憶 振られて地獄 心なら U・S・Bメモリー
横たわる天の川 本当は長い旅路を辿ってきたんだ
時計は逆戻り 隣の席のあの娘 ズル休み

出典: COSMIC BOX/作詞:YUKI 作曲:mugen

1〜4行目に描かれているのは、全てを記憶していたいという気持ち。

例えば今、目の前にいる大切な人のこと。

誰かの仕草1つひとつを全て覚えておきたいと思う瞬間が、みなさんにもあるのではないでしょうか。

しかし、逆にいえば最後には全て忘れてしまうからこそ愛おしいのかもしれません。

全てのことを鮮明に覚えていられるなら、寂しさや孤独を感じることもないはず。

記憶ではなくそれに伴う感情だけが残るからこそ、思い出は切なく美しいのでしょう。

前世の記憶も思い出す時は、どうやら鮮明な記憶ではないよう。

行ったことのない場所や出会ったこともない人に「懐かしい」と感じるのだそうです。

そして、5行目に出てくる「天の川」。

私たちの多くは織姫と彦星のお話で、それを認識しています。

しかし、そんなお話ができる前から天の川は存在しているのです。

あれは無数の星が集まってできているもの。

星は何億光年も輝き、その間にいくつもの生命体が生まれ死にゆくさまを見守ってきています。

もしかしたら私たちが出会ったり、何かをしたりする全ての意味を星は知っているのかもしれません。

そう考えてから、星を見ると余計にロマンチックに感じませんか?

いつかは宇宙に還る

離れ離れになった人々

また明日も 逢えるのに
どうして いつも さようならが きらいになるんだろう?
瞳に映るのは いつか見たはずの 燃える夕焼け

出典: COSMIC BOX/作詞:YUKI 作曲:mugen

何故か子供の頃って、友達と楽しく遊んだ帰り道には寂しくなるもの。

普通の時間を過ごすのが勿体なくて、物足りないような…。

あの焦燥感はどこからくるのでしょうか?

それは、もしかしたら自分たちの時間が有限であることを知っているからなのかもしれません。

どんなに楽しい時間でも楽しくない時間でも。

幸せだろうと不幸せだろうと、いつかは全てなくなってしまうものなのです。

だから、私たちは焦るのです。

100年よりも短い人生の中に、できるだけたくさんの思い出を詰め込もうと必死に。

結局なくなってしまうのに幸せな思い出を作りたい。

それは切ないようで尊い、人間の在り方であるような気がします。

意味のある偶然を紡いでいく

遥遠い昔から 伝わる言葉も全部無意味だとしても
誰かが紡いだ 愛と未来の歌をうたおう
公園の砂場から 大気圏突入用のロケットに乗って
誰か残したシャベルを コックピットにして還ろう
還ろう
還ろう
還ろう

出典: COSMIC BOX/作詞:YUKI 作曲:mugen

この宇宙は全て循環しています。

1つの命が生まれて消え、そしてまた新たな命が生まれる。ずっとその繰り返し。

この世にはYUKIのように、私たちに優しい言葉をメロディにのせてプレゼントしてくれる人たちがいます。

ただその言葉さえも私たちの命が消えた後には忘れられてしまうのです。

しかし、YUKIはそれを知った上で「無意味だとしても歌い続けよう」楽曲の中で語っているのでしょう。

何故なら、忘れられたとしても私たちが紡いだものは確かにこの世に残るからです。

それは4行目に出てくる「シャベル」のようなもの。

自分が残した言葉やものを受け取った誰かが、それを力(コックピット)にする。

そして、受け取った人もまた新たな何かを紡いで宇宙に還る。

同じことの繰り返しでも、それは何か意味のあることのように感じます。

私たち人間は宇宙の箱、つまり【COSMIC BOX】の中に多くのものを詰め込んでいるのかもしれません。

MVをチェック

双子になったYUKIが可愛すぎると話題に

それでは、ロマンチックで哲学的な【COSMIC BOX】を聴いてみましょう。

この楽曲MVでは、YUKIが双子として登場します。

これが可愛すぎるとファンの中で話題になりました。

また、細かい部分ですが同じように見えて双子の髪型が少し違うのです。

MVの内容は、双子の1人であるYUKIが見た夢のお話。

公園でおじいちゃんとおばあちゃんになったYUKIと同級生が遊んでいます。

その夢の話に、もう1人のYUKIがこう言います。

「何でそれが自分と同級生だって分かるの?」

それはきっと、夢で見たお話が前世の記憶だからでしょう。

YouTubeで見られるのはショートバージョンですが、MVの楽しい雰囲気を感じてくださいね♪

「運命」について語られているYUKIの楽曲