『今夜はローリング・ストーン feat. RHYMESTER』
今回紹介するのはNONA REEVESの『今夜はローリング・ストーン feat. RHYMESTER』です。
1995年のバンド結成から24年を経たNONA REEVES。
一方で1989年の結成から30年、常にヒップホップシーンの最前線に立ち続けるRHYMESTER。
実は両者は同じ早稲田大学時代からの付き合いなのです。
宇多丸を先輩!と一途に慕う西寺郷太は「タマフル」時代から宇多丸のラジオ番組に度々出演。
両者は共通の趣味である80'sポップスについてBLのようにキャピキャピと語り合う仲なのです。
宇多丸との共演は2005年の『ラヴ・アライブ』から14年ぶり。
そしてついに両グループがフルメンバーでタッグを組み素晴らしいコラボレーションを見せてくれたのです。
『DJ! DJ! ~とどかぬ想い~ feat. YOU THE ROCK☆』の19年後?
実は2000年にNONA REEVESは今作の前哨戦となる楽曲を発表しています。
それが『DJ! DJ! ~とどかぬ想い~ feat. YOU THE ROCK☆』です。
スウィートなディスコビートと西寺郷太のファルセットボイス。
そして当時YENTOWNのような立ち位置だったYOU THE ROCK☆が組んだ隠れた名曲。
『今夜はローリング・ストーン feat. RHYMESTER』はその19年後の世界を描いているそうなのです。
そこで今回は『今夜はローリング・ストーン feat. RHYMESTER』の歌詞を徹底解説!
彼らの内輪ネタとも思われる用語に込められた想いも検証してみようと思います。
舞台は友人の門出の席
懐かしい仲間たちとの再会
懐かしいフェイス 懐かしいヴォイス
懐かしいストーリーに 懐かしいギャグ
懐かしいメンバーのウェディングパーティー
懐かしいナンバーでバカ騒ぎ
懐かしいクラスのマドンナ 今はどんな?
いや、前より美人じゃん!
これは「かなりキテール カンジテール!」
何か起きちゃう予感してる
出典: 今夜はローリング・ストーン feat. RHYMESTER/作詞:Mummy-D,宇多丸,西寺郷太 作曲:NONA REEVES
『今夜はローリング・ストーン feat. RHYMESTER』の舞台は友人の結婚式です。
同窓生のお祝いともなれば何十年ぶりに再会する友人もいることでしょう。
結婚という門出を祝うために懐かしい顔ぶれが勢揃いしているのです。
自然と気分は同窓会のような雰囲気になっていきます。
学生時代に憧れていた女の子、放課後に何をするでもなく他愛のない話で盛り上がった仲間たち。
皆がそれぞれ10代の頃の面影を残しつつも確実に大人になっています。
この感慨深さはある程度の年齢にならないと実感することは難しいかもしれません。
しかし誰もが一度は体験するであろうノスタルジー。
それをNONA REEVESとRHYMESTERは見事なパーティー・チューンに仕上げてきました。
さすがベテランといったところでしょう。
大人になった仲間と浸るノスタルジー
そんなバツイチ・バツ2・バツ3
独身貴族にすごい子だくさん
会えなかった歳月の落差
埋めるのはいつもこんな音楽さ
あの頃よりずっとイケてるステップ
だって朝飯前で踏めてるぜ
なぜならオレたちはみんなチャンピオン!
互いを讃えてダンスしよう
出典: 今夜はローリング・ストーン feat. RHYMESTER/作詞:Mummy-D,宇多丸,西寺郷太 作曲:NONA REEVES
結婚披露宴が終わった後も懐かしい顔ぶれは帰る気配がありません。
大人になった今、時間を気にせずじっくりと腰をすえて近況報告が始まるのです。
すでに結婚しパパやママとしての顔を持つ人。
結婚に失敗した人も含め未だ独身生活を謳歌している人も当然います。
現実的な近況報告を終えると会話は懐かしき青春時代の思い出話に移行。
RHYMESTERの世代、つまりアラフィフ世代にとっての夜遊びといえばディスコが主流でした。
80'カルチャーがリバイバルヒットする中、クラブでかけられる曲には懐かしのあの曲も!
あの頃、揃いのステップを踏んだ懐かしのヒット曲は様々な思い出を運んでくるのです。
内輪ネタ?展開される小ネタの数々
「ダチーチーチー」って?
いまの「ダチーチーチー」にまたいちいち
声上げて喜ぶそんな一日
ウケ狙った結果スベったスピーチ
さえ余裕さ まるで『クレイジー・リッチ!』
みたいな気分と見事に一致させてくピッチ 例の7インチ
かかりゃ全員大合唱でしょう
Hey DJ Just Play That song!
出典: 今夜はローリング・ストーン feat. RHYMESTER/作詞:Mummy-D,宇多丸,西寺郷太 作曲:NONA REEVES
音楽好きの元・若者が集まれば自然と会話の中心になるのはマニアックな音楽談義です。
サンプリング全盛のヒップホップ黎明期を共に過ごしたRHYMSTERとNONA REEVES。
今ではサブスクリプション・サービスの発展によりあらゆる音楽が手軽に聴ける環境が整っています。
しかし80年代~90年代は何軒ものレコードショップを探し回りようやくたどり着ける音楽があったのです。
ファンクビートのサンプリングに欠かせないジャズのレコード1枚を買うために大枚をはたいた思い出...。
ここで話題にしているのはジャズ・ドラマーBernard Purdieのオープン・ハイハットを使用した超定番フレーズ。
ヒップホップに限らずProdigy、Chemical Brothersなどの大御所もお世話になったあのフレーズです。
特にレアなシングル盤の7インチ・レコードは所有しているだけで皆のヒーローでした。
なんていう懐かしくもマニアックな内輪ネタがこの先も満載なのです。