3rdアルバム『ワンダー』からのリード曲
『ワンダー』の収録曲
今回ご紹介する『海中の月を掬う』は、そらるさんの3rdアルバム『ワンダー』の5曲目。
一番盛り上がるであろう曲順に収録されている1曲です。
全13曲という、今のそらるさんの思いの丈を詰め込んだアルバムになっています。
柔らかく包み込むような、そらるさんの歌声がハードなロックも壮大なバラードも歌い上げる。
どの曲を取っても心に響くアルバムに仕上がっています!
『海中の月を掬う』の世界観
深海から眺める月のように、願っても届かない存在を見上げながら苦しむ様子を歌ったこの曲。
切なさや苦しさを、心情たっぷりに歌い上げるそらるさんの声が心を揺さぶります。
ミュージックビデオも海をテーマにしたものになっていて、美しい映像が展開される作品です。
見ていて切なさが倍増するので、是非映像と合わせてお聴きいただきたい1曲となっています。
監督は『SPACE SHOWER MUSIC AWARDS』で『BEST VIDEO DIRECTOR』を受賞した東市篤憲さん。
目で、耳で、心で、全身を使って曲に世界に没頭できる、素晴らしい楽曲です。
では、歌詞の世界に入っていきましょう!
会いたいけれど会えない
終わってしまった
沈んでく身体がふと見上げた揺蕩う水面にガラクタの心を繋ぎ合わせて君の元へと
出典: 海中の月を掬う/作詞:そらる 作曲:そらる
冒頭の歌詞で、終わってしまった恋を悲観しながら想い続ける様子が伺えます。
深みにはまりつつも、視界の遠いところで輝く「君」。
嘘でもいいから、自分を取り繕ってもいいから、それでも「君」に会いたいと願っています。
しかしそんなに願っていても届かなかったのです。
そのことを物語っているのが、次のAメロ〜Bメロの部分になります。
光も届かない 海底彷徨った 君に会いたかったの
もう顔も不確かで それでもどうして こんなに愛しいの
錆び付いた心臓鼓動がまだ熱を覚えている
出典: 海中の月を掬う/作詞:そらる 作曲:そらる
「君」の元へは行けなかった。
しかも、それは最近のことではなかったのです。
顔の記憶がなくなるほどに昔のこと。
そんなに昔なのに、つい昨日のことのように「君」への想いは鮮明に心で輝いています。
その思いが彷徨い続ける状態を、深海を彷徨っている様と重ねているのです。
見えているのに届くことがない存在
ただただ抱きしめたい
ねえ 君がくれた歌をずっと ここで歌おう
今は君に ただ君にだけ 届いて欲しい
冷たい海に凍える前に身体を抱きしめさせて
溢れる涙止めて欲しい 溺れてしまうから
出典: 海中の月を掬う/作詞:そらる 作曲:そらる
長い間、想いの中、奥深くに沈み続けている状況です。
そしてその思いが鮮明であればあるほど、ハッキリと見えている状況。
それなのに届かないし、届くことがないのです。
おそらくこの先もずっと。
だからこそ、せめてこの想いが届いて欲しいと願っています。
そしてもし届いたのなら、少しでいいから抱きしめたいと心から叫び続けているのです。
欲が出るのが人間ですからね。
想いが深かっただけに、その先を求めてしまうのは自然なことですから。
そう。
今願っていることは、昔のように近くで抱きしめたいということなのです。
しかし、その願いが届かないことを気付いているものの、想わずにはいられないというジレンマ。
その葛藤の中で、主人公は苦悩し続けているのです。
まるで、光の届かない深海を彷徨うかのように暗い世界に囚われています。