リアルな世界観が癖になる

宇多田ヒカル「In My Room」の歌詞を独自解釈!夢と現実の狭間で揺れる気持ちがリアル…の画像

宇多田ヒカル『In My Room』歌詞MVも妙にリアル。

不思議なくらいすっと胸に入り込んでくる曲です。

曲中で歌われている夢と現実。そして、ウソとホントウ。

これらの違いは、いったいどこにあるのか?

当たり前のように区別できていたものが、曲を聴いているとだんだん分からなくなってきます。

世界観がリアルすぎて、逆におとぎ話のようにも思えてくる。

曖昧でありながら、なぜか説得力に満ちた歌詞を考察していきます。

覗き見をしているようなMV

タイトルが『In My Room』というだけあって、MV男性が部屋で過ごす様子をひたすら映しています。

1人暮らしと思われる男性は、リラックスした格好で煙草を吸ったり、カップ麺を食べたり……。

他人の私生活を覗き見ているような感覚に、なんだか胸がぞわぞわしますね。

このMVで注目したいのは、映像が上下に分かれているところ。

上の画面では部屋で過ごす男性の様子。

下の画面では手書きのリリックが映されています。

MVを最後まで見ると分かりますが、下の画面で映されているリリックは、男性が部屋で書いていたもの。

どうやら私たちは、男性の私生活だけでなく、男性の頭の中まで覗き見ていたようです。

君は生活の一部

日常生活と密接しながら綴られていく片想いの心情。

あっと驚くような出来事も、胸がドキドキするような展開もない。

ただ平凡な生活の中に君がいる。

それだけで、考えなければならないことが少し増えます。

恋というのはきっと、そんな些細なものなのでしょう。

大袈裟な言葉はいらない。

この曲の主人公にとって君の存在は、もはや生活の一部と化しているのかもしれません。

片想いを楽しむ

火曜日の朝は廊下で
すれちがったけど 君は気づかない
名前すらきっと知らない
そんなことはどうでもいい

出典: In My Room/作詞:宇多田ヒカル 作曲:宇多田ヒカル

朝に君と廊下ですれ違った。

そんなことをいちいち覚えているのは自分だけ。

主人公は片想いの君に名前さえ知られていないようです。

しかし主人公はそのことに対して、それほど悲観している様子はありません。

自分の名前を知られていなくても、「どうでもいい」と言い放ちます。

重要なのは、「君にどう思われているかよりも、自分が君をどう思っているか」ということ。

片想いの良いところは、自己満足が許されるところかもしれません。

恋人同士ではないからこそ、好きなように君を想っていられる。

主人公は自分なりに片想いを楽しんでいるのだと思われます。

本当の愛を探す

フェイクネイル カラーコンタクト
エクステンション 髪にかざって
フェイクファー 身にまとって
どうして 本当の愛捜してるの

出典: In My Room/作詞:宇多田ヒカル 作曲:宇多田ヒカル

偽物に身を包みながら、本当の愛を探す。

そんな自分を主人公は冷めた目で見ているようです。

これは身につけている装飾品に対してというよりは、自分の内側に対する想いなのでしょう。

本音を隠し、耳当たりの良い言葉ばかりを並べる。

偽ってばかりの自分に、主人公は嫌気がさしているのかもしれません。

もしくは、嘘にまみれて生きているから、本当の愛に憧れているのかも。

ここの歌詞からは、主人公が自分自身に対して不満を抱えているらしいことが読み取れます。

またMVには男性が登場していましたが、どうやらこの曲は女性目線で書かれた曲のようです。

部屋に1人でいる時に考えること

サビの歌詞では主人公の心情が特に深く掘り下げられています。

部屋に1人でいる時、頭の中をぐるぐる回る様々な感情や考え。

思考の波に飲みこまれ、主人公は少し感傷的になっているようです。

疲れているなら夢の中に逃げ込もう