戦うのもいいけど 疲れちゃったよ
夢も現実も 目を閉じれば同じ
だから dreaming of you 夢にエスケープ in my room
ウソもホントウも 口を閉じれば同じ

出典: In My Room/作詞:宇多田ヒカル 作曲:宇多田ヒカル

自分の意思を貫いたり、社会に反発したり……。

そういった生き方は確かに格好いいけれど、すぐに疲れてしまいます。

現実を生き抜くのは、なかなか大変。

自分の部屋にいる時くらいは、夢の中に逃げても許されるはずです。

そもそも夢と現実の違いって何でしょう?

目を閉じてしまえば、実際に見えていた世界と、自分の頭の中にある世界、どちらも同じに思えてきませんか?

それと同じようにウソとホントウの違いだって曖昧なものです。

言葉にしなければ、どちらも存在しないといっていいでしょう。

そんな曖昧な世界に生きていると思うと、社会に立ち向かう意義も分からなくなりますね。

日々の生活の中で思うこと

2番に入ると、さらに感傷的な歌詞が多くなります。

1人で悶々と考え込んでしまうのは、主人公の性格なのかもしれませんね。

現実や社会と向き合うことに疲れた主人公は、日々いろいろと思うことあるようです。

現実の世界から離れていたい

タマシイ揺さぶるようなセリフ
でも私にはもう何も聞こえない
遠くで誰かが呼んでる
でもまだ帰りたくはない

出典: In My Room/作詞:宇多田ヒカル 作曲:宇多田ヒカル

現実にだって、魂を揺さぶるような出来事はあるはずです。

しかし、主人公は「もう何も聞こえない」と言います。

それは主人公自身が、自分で自分の耳を塞いでいるからなのではないでしょうか?

元いた場所、つまり現実にはまだ帰りたくない。

そんな思いから主人公は無意識のうちに、現実で聞こえてくる声から逃げるようになったのかもしれません。

自分の名前を呼んでくれる人。

自分を必要としてくれる人。

そういった存在がいたとしても、主人公はしばらく現実の世界から離れていたいのでしょう。

孤独を望みながら居場所を探す

街のざわめき 心地いい程
冷たく優しく包んでくれる
わたしだけの private zone
どうして 居場所をいつも捜してるの

出典: In My Room/作詞:宇多田ヒカル 作曲:宇多田ヒカル

自分とは関係のない人たちの話し声が、心地よく胸に響く。

それは誰からも干渉されない世界にいると思えるからかもしれません。

人間関係に煩わされたり、悩まされたりすることのない、自分1人だけの空間。

主人公はそんな「private zone」を求めているのに、なぜかいつも居場所を探してしまいます。

1人でいたい。そう思いつつも、やっぱり誰かに必要とされたい。

主人公は相反する願望を抱き、鬱々とした気持ちになっているのでしょう。

「どうして」という言葉には、主人公の不安が隠されているように思います。

夢と現実の狭間で揺れている

すべてが曖昧に思える日々のなか、唯一確かだと思えるのは君への想いだけ。

主人公が片想いで満足しているのは、君への想いが崇拝に似ているからかもしれません。

一方通行の関係で構わない。

君がいるだけで十分。

きっと君の存在こそが、主人公の生きる世界そのものなのでしょうね。

君さえいれば「正しさ」にも興味はない

泣いて笑って きずつくのもいいけど
夢も現実も 目を閉じれば同じ
だから always with you 夢にエスケープ in my room
ウソもホントウも 君がいるなら同じ

出典: In My Room/作詞:宇多田ヒカル 作曲:宇多田ヒカル

人との繋がりの中で生まれる喜怒哀楽を大切にする生き方も悪くはない。

むしろそういった生き方の方が、社会的には正しいのかもしれません。

しかし、主人公はあまり「正しさ」というものには興味がない様子。

それというのも、主人公の気持ちが常に夢と現実の狭間で揺れているからでしょう。

君さえいれば、ウソとホントウの区別もなくなる。

本気でそう思っているから、主人公は今日も夢の中へと逃げ込みます。

夢の中で主人公は君とどんな関係を築いているのでしょうか?

君はいつでも曖昧で遠い存在

逃げたい日もあるさ すべてを忘れて
夢も現実も 目を閉じれば同じ
だから dreaming of you 夢にエスケープ in my room
ウソもホントウも 君がいないなら同じ

Dreaming, dreaming of you, baby
What am I gonna do?

出典: In My Room/作詞:宇多田ヒカル 作曲:宇多田ヒカル