嘘つきが言う「絶対」

“I'm with you tonight, woo... I won't lie
I'm with you tonight, woo... I won't lie”
(今夜は貴方と一緒に居るわ、本当よ)

such a lie...
(そんな嘘を…)

出典: Same Sky/作詞:MAH 作曲:SiM

「本当よ」とわざわざ付け加えていることから、過去に同じような状況で何度も嘘をついたのでしょう。

相手を期待させて突き落とす。彼女はこれを繰り返してきたため、彼は彼女の嘘が見抜けるようになったのです。

彼女自身も、彼が自分を信用してくれなくなっていることに気づいています。

だからこそ「本当よ」を付け加えているのです。

しかし、いくら「本当」と念押しをしたところで彼は全てお見通しのようですね。

彼を手のひらで転がしているかのような彼女の態度が、妙に虚しく感じます。

愛に嘘はないのか

“千の言葉より一度抱きしめて
声にすれば風と消えてしまうでしょう
生まれた事さえ罪というのなら
いっそその手で息の根を止めて”

“ひと滴の愛で毒を殺すの”

出典: Same Sky/作詞:MAH 作曲:SiM

このパートはダブルクオーテーション「“ ”」で括られていることから、彼女のセリフのようですね。

言葉より態度で示して欲しいという彼女の真意はどこにあるのでしょうか。

彼が彼女に語りかければ彼女は答えざるを得ません。しかし彼女は息を吸うように嘘をついてしまう。

つまり、言葉を発することで新たな嘘をついてしまうことを恐れているのではないでしょうか。

彼は彼女と出逢い、愛してしまった。しかし嘘つきな彼女を愛してしまったことを後悔しています。

まさかそれを正直に彼女に伝えたりはしないはずですが、「出逢わなければよかった」とは伝えたのかもしれません。

彼女に出逢わなければ、彼女に惹かれることはなかったのです。嘘で苦しむこともなかったのです。

最後の彼女のセリフもまた、毒=嘘として考えてみましょう。

愛が嘘を殺す。つまり愛さえあれば嘘が真実に変わる、というようなとんでもない解釈ができます。

彼女は嘘をついて何を守っているのか

彼女はなぜ嘘をつくのでしょうか。

嘘をついて何を隠しているのでしょうか。

視点が違うと見え方違う?

how could you tell me such a lie?
(どうしてそんな嘘を吐くんだい)
looking up at the same sky
(同じ空を見上げながら)
we were falling apart
(僕らはバラバラに崩れて落ちていった)

出典: Same Sky/作詞:MAH 作曲:SiM

「could=できた」ですから「よくもまあバレバレの嘘なんて吐けたものだね」というようなニュアンスを感じます。

純粋な疑問ではなく呆れている状況です。

出逢った頃の二人はただお互いを求めて愛して、同じ場所を見ていたのではないでしょうか。

今だって二人が上を向けば同じ空が広がっていますし、例え彼が地球の裏に行ったって空はつながっています。

同じ場所を見ていたはずなのに、今だって同じものを見ているはずなのに、想いは重なりません

青空の青さは人によって感じ方が異なるからなのか。

それとも彼女がサングラスを掛けて別の色に見えるように仕向けているのか。

それは分かりません。

愛は真実だった

ひと滴の毒で愛を汚して
how could you tell me such a lie that “I'm with you”?
(どうして“一緒に居る”なんて嘘を吐けるんだい)

出典: Same Sky/作詞:MAH 作曲:SiM

彼女が初めてついた嘘は、たった1回限りの小さな嘘だったのかもしれません。

しかしその1回が彼の中で決定打となってしまったのです。

恋愛関係とは、他人同士が信頼関係を結んで成立するもの。嘘によって簡単に崩れ去ります。

そんな世の中の常識を無視して、今まで何度も重ねてきたのと同じ嘘をまたつこうとしている。

彼は全く理解できません。

彼女はなぜ彼に嘘をつき続けるのでしょうか。

彼への想いがなければ嘘をついてまで一緒にいる必要はないのです。

嘘をついてでも、嘘がバレていても一緒にいたい。結局彼女は彼を愛しているのでしょう。

ただし、彼と同じぐらい大切な存在がどこかにいるのかもしれません。

彼女が今までついた嘘

woo... tonight
woo... I won't lie
(今夜は嘘じゃないわ)
I'm with you tonight
(今夜は貴方と一緒に居るわ)
woo... I won't lie
(本当よ)

出典: Same Sky/作詞:MAH 作曲:SiM

彼女の言葉のようですが、ダブルクオーテーションで囲まれていません。

彼が彼女の言葉を復唱しているのだと推測できます。

どうしてこんな嘘がつけるのか分からず、声に出してなぞってみたのでしょうか。

あるいは、あまりにも見え透いた嘘だと茶化しているのかもしれませんね。

視点を変えれば常識が揺らぐ